特集 EMでつくる家庭菜園
えむえむ関東68号より
=EMネット茨城発=
かわいい子供を育てる気持ちで土づくり
常陸太田市 大内勝子
はじめに

わたしは、昔から年月をかけて野菜を栽培してきた畑約5aほどですが、それを親から引き継いで野菜類を栽培しています。日当たりは良いが、土質は埴壌土(粘土質がつよい土)のため硬い土の圃場です。現在は、ナス、トマト、キュウリ、二ンジン、大根、とうもろこし、二ラ、ソラマメ、さやえんどう、ほうれん草、インゲン(赤・白)、キャベツ、ブロッコリ、小松菜、春菊、小かぶ、ネギ(赤・下仁田)、すいか、アブラナ、たまねぎ、小豆、馬鈴薯、サニーレタス、生姜、オクラ、モロヘイヤ、ゴーヤ、食用菊、あさつき、アシタバなどを栽培しています。
 
6月10日頃の自給菜園の様子
昔は、農業機械といえば、万能・鍬・ホーク・鎌などでした。肥料といえば、硫安・燐酸・加里・塩安・石灰窒素・消石灰などで、その後に化成肥料が出回ってきました。また、農薬は、殺虫剤や殺菌剤が多かったのですが、次第に除草剤が多く使用されるようになってきました。
 以上のようなものを使って野菜類を永年栽培してまいりましたが、ナスをはじめ「連作障害」「品質の低下」「食味」などに悩まされていました。
 平成5年のころ、EMで水稲や野菜が栽培できるということを知りました。しかし、不安が先にたってなかなか取り組んでみようという気持ちになれませんでした。
 主人と2人で、EMボカシで栽培するには水稲からはじめようという話になって、20aで栽培をしてみました。特に、水稲栽培は主人が中心で取り組みました。当初は、土づくりは化成肥料が中心でしたし、EMの技術も思うようにいかなかったようで収量は低かったように記憶していますが、今では品質をはじめ食味も良く病害虫にも抵抗力のあるほどの健康な稲になり、自信が持てるような栽培になれたと感じています。
 6月に入ってから田んぼの中を見ますと、おたまじゃくしなどが自由気ままに泳ぎ回っています。中頃になるとトンボのヤゴ(幼虫)が稲葉の先のほうにあちこちにたくさん落ちないようにくっついている姿が頬えましく思います。ツバメは稲の上をスーイスイと飛び回って小さな昆虫を餌にしているようです。夏になってくるとドジョウがピチピチと水音をたてながら泳ぎ回る様をみると楽しくなってまいります。
 秋の実りをむかえますと子供や孫たちが収穫作業を泊まり込みで喜んで手伝いに来てくれます。そして、私たちが作った健康で安心な米を子供たちが食べている姿を見るにつけ、安らぎというものをしみじみと感じております。
このような水稲栽培での一生をみて、野菜もEMボカシで栽培してみようという気持ちになり、約8年ほど前から野菜を栽培するようになりました。

土づくりについて

 昔は、粘土質が強くかたくて水はけが悪い土でした。たとえば、万能で土を掘ると土が万能の刃にくっついている状況でした。白菜やキャベツなどの葉物類はできても大根や二ンジンなどの根菜類が思うようには、なかなかできませんでした。雨が降ると畑の中に水がたまったりしていました。
 そのため、最初にはじめたのは土の改良でした。たとえば、一本ネギを栽培したときは、最終の土寄せが終了した時点で深くなった掘り溝の中にもみ殻を目一杯入れたり、また収穫あとですぐに野菜を栽培しないときには、もみ殻を入れてロータリでゆっくりと深めに耕耘したり、また植木類を剪定したときの残渣を入れたり、芝草や雑草などもやがて土にかえると思われるものは、いろいろなものを毎年のように畑に入れました。さらには、牛糞堆肥も10a換算1トン程度入れたりしました。
 そして、EM活性液やEMボカシを混ぜ込んだりしてきており、特に野菜を栽培するときは、EMボカシや生ごみ発酵堆肥とEM発酵液・米のとぎ汁EM発酵液をその都度使用しています。今では、長い間、土の改良と土づくりをやってきた甲斐があって、野菜類が気持ち良く育っていくように感じられます。いま一番よかったと感じていることは、野菜類の連作障害ということがほとんど感じられなくなったということです。
 3年前から、家屋周辺や畑などの環境を少しでも整えていこうと2人で考えて、次のようなことをはじめました。
 ナスやトマトをはじめとしてすべての野菜類や植木類の残渣を堆肥化することを始めました。一番下に丸のままの竹を並べ、雨が降っても水はけが良いようにして1.8m四方の板枠(図1堆肥枠のつくりかた)を作り、その中に

使用中の堆肥枠
剪定枝などをチップ状にする
シュレッダー式カッター
カッターから出てきたチップ状の残渣や剪定枝
@いろいろな残渣を入れて
A足で良く踏み、
B水をかけ、
C足で良く踏み、
D米糠を多目にふりかける。
Eその都度この繰り返し作業を続け、2mくらいの高さまで積み重ねていく。
秋になって涼しい風が吹きはじめる頃には、発酵がはじまってゆらゆらと湯気がたなびくようになってくる様は、何とも言いようがありません。これらを使用するには、できるだけ1回は切り返しを行ったほうが良いようです。そうして熟成してから畑に利用しています。
 しかし、土づくりは終わったわけではないと思っています。かわいい子供を育てる気持ちで毎年毎年休みなく続けていかなければならないと思っています。
なお、植木類の直径3〜4cmくらいの小枝は、シュレッダー式カッターで細かいチップ状になるので取扱いが非常に簡単です。稲藁は1〜2cmくらいになります。
また、米のとぎ汁発酵液づくりは2Lのペットボトルに使って、部屋の一角に並べて置きますと、数日で発酵がはじまってきます。これをお風呂・流し台・トイレなどに毎日使用しています。また野菜類にも1,000〜800倍液で散布したり、ジョロで灌水に使用しています。

栽培にあたって(10a換算)

@貝化石80kgを1年おきに散布。
A元肥として、EMボカシ200kgを入れて、ロータリーなどで浅く耕起しています。
ただし、トマトやキュウリなどは、生育がはじまってから生育状況をみながらEMボカシを追肥したほうが良いと思います。そして、夏を向かえるので、稲ワラを株元周囲に敷きワラをします。
B1ヵ月ごとに、EM生ごみ発酵堆肥を野菜の根の先に入れます。敷き藁はその上に乗せ直します。発酵液は野菜や土に灌水にあわせて1,000倍液を散布。

EMボカシ栽培の成果

@化成肥料を使用していたときと違って、素手で簡単に気軽に使用できるし、野菜の生育がすくすく育ってくれているように感じられます。
A畑の水はけが非常に良くなって、雨上がりの畑がさわやかに感じられる。
B土が非常に柔らかさがでてきて弾力的になってきた。
C畑の作業がしやすくなった。
Dナス科などの連作障害が改善されてきたと感じられます。
Eナスの花が1ヵ所1花しか咲かなかったのに、2花咲くようになってきた。
Fソラマメ1莢に実が3〜4個粒がそろって入るようになってきた。
Gとうもろこしは、草丈が以前より低いが、実が大きくなってきた。
H大根の辛みが少なくなってきた。
キュウリは節間が短めになってきて、葉が小さめになってきたように感じられるなど。

これからも、環境にやさしいEMを活用した野菜づくりを、地域の中で広げていきたいと考えています。