特集 EMと家庭菜園
えむえむ関東92号より
=EMネット山梨発=
   EMでいきいき家庭菜園の普及
                   
             富士吉田市EMオアシスの会 渡辺栄治
      

共同庭菜園で受講者全員での除草作業
市民を対象とした家庭菜園講習会
はじめに
 我が「EMオアシスの会」は、EM(有用微生物群)を活用し、より安全で、より健康で、よりおいしい野菜等を作りながら「農を基にした自然循環型地域社会つくり」を目指し、有機農業を推進することを目的として富士吉田市及びその周辺市町村の者で構成されており、現在の会員数は23名である。
 発足以来、毎月第3木曜日に富士吉田市の市民ふれあいセンターで勉強会を開きお互いの情報交換を行い、各人の技術の向上に励んでいる。
 また、富士吉田市の環境課と連携を持ちながら、毎年行われている環境フェステバルでは一般市民にEMボカシ作り、米のとぎ汁EM発酵液作り、EM活性液作り、EM生ごみ発酵肥料作りなどの指導を行いEMの活用と普及に努めている。
 これら普及活動の結果、焼却場への生ごみ搬入が減少しつつあり、まさに一石二鳥の成果が現れている。
 また、市内小中学校のトイレ清掃のボランティア活動など広く市民との関わりを持っている。
 これらのことをふまえ、我われEMオアシスの会が中心となって地域の家庭菜園の普及に努めているところである。
 
市民を対象とした家庭菜園の指導
 富士吉田市では、生ごみを有機肥料として土に還す運動に力を入れている。
 ただ呼びかけだけでは掛け声倒れになるのが現実である。
 そこで、市の環境課では資源ごみの回収場所で、ペットボトルなどの資源ごみを持ち込んだ市民に「EMボカシT型」の小袋と説明書を差し上げてEMを使った野菜作りのきっかけになるようにしている。それに加え、「EMオアシスの会」と連携して、年に何回か米のとぎ汁EM発酵液作り・EM生ごみの発酵肥料作り教室を開催するなど地道な努力を重ねてきた。
 その結果、市民の中に健康な野菜作りの気運が高まってきたことを受け、本年度よりEMを使った家庭菜園普及運動の一環として、市が土地を提供し「EMオアシスの会」が技術指導をする、EMを使った家庭菜園の希望者を広報で募集したところ予想外の応募があり30名に絞って4月より開始した。
 第1回目は、農場隣接の管理棟で(財)自然農法国際研究開発センターの大沢先生による、EMの基礎の講義、EM生ごみ発酵肥料の作り方などの勉強会を実施した。
 二回目にジャガイモ、ヤーコン、カボチャなどの栽培を始めた。
 参加者それぞれ鍬などを持ち寄り見よう見まねで作業を開始した。なかには農業経験がほとんどない人もあり心もとないところもあったが慣れるにしたがい楽しそうに皆と一緒に作業に励んできた。
 種・農業資材は富士吉田市が提供し、我われが栽培指導にあたり、毎月参加者全員で生育状況の確認かたがた除草、追肥などをしている。
 7月下旬の収穫祭を楽しみに待っているところである。 

EMオアシスの会の共同菜園
 今までは会員がそれぞれ自分の畑で野菜の栽培をしながら毎月の勉強会で意見交換をしていたが、共同菜園で栽培することにより、栽培技術の更なる向上と一般市民へのアピールにもなる。本年度から前会長の畑約10aを借りて野菜の栽培をすることにした。
 4月上旬、耕転、EMボカシ・EM生ごみ発酵肥料を施用しマルチングをして約一ヶ月間養生して、5月8日いよいよ蒔き付け。
 ジャガイモ・ヤーコン・トウモロコシ・里芋・カボチャ・生姜など。なかには時期的に多少無理があったが大勢が一堂に集まって作業をしなければならないためほとんどのものを5月8日に種を蒔いたり植え付けた。
 除草・追肥などの管理は原則として、週1回班別で行っている。
 結果、外部の人が見に来ても自慢できる状態で今日を迎えている。
 収穫後は、毎週朝市を開き販売の予定であるが、場所の選定、販売体制の確立など乗り越えなければならない課題も多いが行政の指導と援助で克服できる見通しが立った。
 なお、一部の会員はすでに道の駅・近隣スーパー等での販売実績もあるのでここでの販売も進めてゆく予定である。
共同菜園の順調に生育中の
トウモロコシとジャガイモ
収穫期間近の青々としたゴロゴロ植えの
ジャガイモ畑

有機農業普及支援事業への取り組み
 会員の中には道の駅や、スーパーで販売している者もいるが大半は自家消費用の野菜を栽培している。
 当然最盛期には食べきれないので近所、知人におすそ分けと言うより、貰ってもらうことで何とか捨てないで済ませているのが実情。
 多少でもお金になれば楽しさは倍増する筈だが、面倒でもありその方法がよくわからないのが悩みの種。
 そんなところへ、県のほうから有機野菜の販売活動を援助する制度があるとの情報を得た。そこで本年度、山梨県農政部農業技術課の指導のもと、有機農業普及支援事業費補助金交付を受けて販売体制を確立することとした。
 この事業は、栽培した野菜などを販売するための補助事業として事業費の2分の1、最高25万円の補助金が交付される。
 先ず、販売の七つ道具であるテント・机・椅子・看板・昇りを設置することとして、このたび支援事業実施計画の認定を受け、補助金の交付を申請中である。
 現在栽培している夏野菜の収穫時期に間に合わせて、それなりの成果を挙げたいと念願しているところである。

河川浄化への取り組み
 7月19日海の日の「全国一斉EM投入」に合わせ、富士吉田市内、蓮池の花が咲く明見湖の浄化作戦に向けてEM団子つくりをした。
 家庭菜園受講者の第三回目の作業に合わせて、受講者と我われオアシスの会の者で、力を合わせて、土練りから団子作りまで約2000個のEM団子を作り上げた。
 家庭菜園受講者と一緒のEM団子作りは和気合あいと楽しい雰囲気であった。
 出来上がったEM団子は現在管理倉庫で 養生中である。
 
EM野菜の驚き
 私がEM栽培を始めて4年目。
 失敗の繰り返しで、うまく行かないときは、化学肥料を使いたいと思う衝動に駆られたときもあったが、我慢して何とか今日までやってきた。
 種類によってはまだまだのものもあるが、化学肥料に負けない、いやそれ以上によくできたものもある。
 
昨年の秋収穫のサツマイモである。
 大きくなりすぎて、味はどうかと思ったが食べてみるとほくほくしてまことにおいしかった。近所にもおすそ分けが出来るほど大収穫。
 農業は、土作りが命とは、よく言われているが秋の収穫後に、10aの畑に落ち葉を軽トラック山盛り2台、EMボカシ100kg、EM活性液2gの500倍希釈液を散布して鋤きこみ一冬寝かせる。
 こんなことを繰り返すうちに畑の土もだいぶ慣れてきたようで、歩いてみると、ふか
ふかしてなんともいい気持ちがする。
 葉菜類は生育期間が短いため、肥料切れに気配りが大切で、常に顔色を見ながら施肥に注意している。
 EMの野菜は味が格別であることは我が家の孫が一番知っている。買ったものと食べ方がぜんぜん違う。
 安全でおいしい野菜を孫に食べさせたくて畑仕事に精を出している。
 今年からジャガイモを黒マルチの穴に押し込むゴロゴロ植えにした。作業は種蒔き、畝間の除草だけ、消毒類一切なし。生育状況は頗る良好である。
 収穫もマルチをはがせばゴロゴロしているのでまことに簡単。
 それに、収穫間近にも関わらず、青々としている。近くの化学肥料栽培の畑では、消毒をしたにも関わらず赤く枯れ始めている。
 比嘉教授がよく言われる「EMは効くまで使え」という言葉が分かってきた。
 先日、仲間と富士山のお中道へ行ってきた時の話。弁当はおにぎり・朝取りのキュウリと味噌だけ。仲間とおかずのやり取りの昼食。
誰ともなく、「キュウリがこんなに美味しいものだったのか」との驚きの声。
 「種明かしは、EM栽培の野菜だから美味しいんです」とあれこれ説明して、皆が納得。
 なんとなくEM栽培が楽しくもあり嬉しくもあり。

今後の課題
 私自身EMに取り組んできてその良さは分かってきたが気になることがある。
 我われは、EM活性液やEMボカシ作りも会員同士で協力して何とかなるが、一般の方はおいそれとは作れない。
 EMの良さはそれなりには認知されているように感じるが、世間一般的にはEMの知識を持った人だけの特別な栽培方法と考えている人が多いではないだろうか。
 EM活性液作りからEMボカシ作りまでとなると一般の人には大変過ぎる。
 又、EM資材の調達ルートを知っている人はごく一部ではないか。
 最近、ホームセンターなどで有機肥料と銘打って売り出しているものもあるが、EMボカシとは程遠いような気がする。ただし流通経路が確立しているので簡単に入手できる。
 そこで、EM活性液・EMボカシT型・U型などが、農協・ホームセンターなどで気軽手に入り、使用法が分かれば、EM栽培が一気に加速するのは間違いないと思うが如何なものか。
 これからも「EMオアシスの会」の仲間と共に研鑽に励みEMの普及と安全でおいしい野菜作りにとり組んで行きたいと思っている。
家庭菜園受講者とのEM団子作り