特集 EMと家庭菜園  
「えむえむ関東101号」より
=EMネット群馬=
ただいま、家庭菜園中!! 
安中市 萩原 光子
 
1. 浅間山の噴火のこと
 「・・・それより軽井沢宿に参ったところ、潰れた家も多く、残った家々の軒際まで石にて埋まっていた。
7〜8尺(210〜240p)もあるように見えた。(中略)ここから急いでも日中に坂本宿までは難しいが、急ぎ向かい、ようよう坂本宿に着いた。安中辺りは降った砂により立木も大半が打ち折れ、葉は1枚もなく、青き物はまったく見えなかった。高崎辺りは高き草と畑物の先が少々見えるが・・・」
この文章は、天明3(1783)年7月18日(旧暦)に松本を出立し、江戸に向かう旅人の記録です。
この日の約2週間前に浅間山の大噴火がありました。
噴煙は数日間続き、関東ほぼ全域に火山灰が降りました。私の家の菜園は、文章中で甚大な被害を受けたと表現されている「安中市」にあります。市の中央を東に流れる利根川支流の碓氷川の右岸河岸段丘上です。
浅間山の噴火によりほとんどの農作物の収穫ができず、農民は困窮を極めました。
天明の大飢饉です。農作物が壊滅し、食糧や飼料の不足が最悪の状態となりました。
大規模な一揆がこの地域一帯から始まったことが記録されています。
当時のことですから、復旧は農民自身で行わなければならなかったことでしょう。その努力の跡が今も残っています。
   
この写真は、私の家の菜園の脇にある、軽石の堆積場所です。この一帯では、直径が数メートル程度のこのような小山が、目につきます。今は篠竹や小灌木が生えているのでそれと気づきませんが、少し掘ると軽石がのぞきます。降り積もった火山灰と軽石を、すべて手仕事で拾い掃き集めた跡です。その後も浅間山はたびたび小噴火がありました。そのたびに、この厄介な後片付けが繰り返され、今に引き継がれています。
 

 
2. かつての桑畑は今
このように、先人の苦労が積み重なった農地ですが、耕作が放棄されているものが少なくありません。
写真は、手が入らなくなってから20年以上経過した桑畑です。

この地域は、以前は養蚕が栄え、ほとんどの畑が桑畑でしたが、昭和50年代以降、生糸の輸入が始まると、一気に養蚕は廃れました。
「下仁田ネギ」「こんにゃく」などの大規模栽培に変わりました。
その一方で、後継者のいない農家の一部は、細々と養蚕を続けました。
この写真は、養蚕を続けた老夫婦の桑畑の今の様子です。
高齢のため、もう何年も前に養蚕を断念しました。手入れがされず、伸び放題となった桑の木の根元に、篠竹が侵入しています。
このまま、あと10年も放置すれば、かつて農地だったことさえ分からなくなってしまうことでしょう。

3.ただいま、家庭菜園中!!
このような中に、私の家の菜園があります。
この農地は、以前はコンニャク栽培農家に借りていただいていたもので、約30aの広さがあります。
家庭菜園と呼ぶにはとても広すぎ、以前は、義父が年に数回、除草だけをしていました。
その一部で、キュウリやトマトなどを少しだけ栽培していたのですが、数年前に、夫がEMの基本知識を学んできたことをきっかけに、私たち夫婦で本格的(?)な家庭菜園作りにチャレンジすることにしました。
もちろん完全無農薬栽培です。
EM活性液は、夏の間だけですが、数日に分けて、毎月約200g(原液)を散布しています。
加えて、昨夏はEMボカシを約300kg作り、冬野菜の種まきの前にすきこみました。
家で出る生ごみは、全てEMボカシを加えて堆肥としています。
固かった土が少しずつ変わっていくのがわかります。 
目標は、この地で栽培できる野菜を自給することです。現在、30a農地の約三分の一を菜園としています。この一年間で育てた野菜を数えたら、約40種類にもなりました。
アスパラガス、グリーンピース、インゲン、大豆、玉葱、ジャガイモ、さやえんどう、ネギ(岩槻ネギ、下仁田ネギ)、ホウレンソウ、小松菜、白菜、杓子菜、春菊、菜花、キャベツ、ブロッコリ、レタス、サニーレタス、山芋、オクラ、きゅうり、なす、ピーマン、トマト、モロヘイヤ、スイカ、メロン、トウモロコシ、大根、人参、蕪、みょうが、さといも、サツマイモ、ブルーベリー、ラズベリー、ウコン、コゴミ、蕗などです。
まだあったかもしれません。また、まだ実は生りませんが果樹も何本か植えました。
農作業できるのは休日だけですので、雑草対策ができず、夏の間はほんとに大変です。
そのため失敗することも多いのですが、自分で収穫した野菜を食べられるのがうれしく、休日は菜園に行かないと落ち着かないようになりました。
私たちに刺激されてか、お隣さんのご夫婦も、所有の耕作放棄地にトラクターを入れました。
差し上げたEM活性液を使っているようです。
EM仲間が増え、農地が生き延びました。今年は一緒に収穫祭ができそうです。
年々野菜の出来がよくなっているように感じます。夫はEM効果と自慢げです。
今年は菜園を2aほど広げる計画です。春が待ち遠しいです。