特集 環境教育
えむえむ関東87号より
=EMネット神奈川発=

地元ロータリークラブが支援・プールサイドで環境学習
                   
神奈川県鎌倉市立大船小学校

「いやぁ、プールがきれいになってびっくりしましたよ」

5、6年生体育委員によるプール掃除 
きれいになったぁ
 JR大船駅から徒歩10分。住宅街の真ん中にある鎌倉市立大船小学校(児童数414人)の山口昭雄校長は驚きを隠しません。山口校長が、鎌倉市教育委員会からEMでプール掃除をしないかと打診を受けたのは、昨年のこと。確かに毎年1回、高学年が行うプール清掃は、ヘドロを流すだけでも大変な作業。子どもたちの負担が減り、プールがきれいになるなら素晴らしいのでは、という思いがありました。
 最初は、防火用水や災害時の飲料水に使われていることもあって、水質に問題が起きないか、長年自然観察を行っているヤゴなどの生物に影響を及ぼさないか、心配だったといいます。しかし、インターネットなどでEMを情報収集した結果、賛否両論あるが、学校のプールで使われた結果はすこぶるよいことを確認し、先生方とも協議の上で、EMでのプール掃除を行うことに決めたと話します。同校のプールは、広さ325uの鋼製で1977年にオープンし、夏休みには市民に開放されています。

プールがビオトープに ヤゴやアメンボウが育つ

 
さて、第1回目の150LのEM活性液を投入したのが10月30日。環境問題を学習する4年生2クラス50人が山口校長先生によるプールサイドでの自然環境を支える微生物の役割についての
第1回目の投入
 興味深々で活性液を流す4年生
第2回目の投入 
校長先生の授業を真剣に聞く
授業を受けました。子どもたちは、真剣に校長先生の授業に耳を傾け、興味深々の面持ちでEM活性液をプールに流し込みました。その数ヵ月後、壁や床に張り付いていたヘドロが固まりとなって浮いているのを子どもたちが発見して、「EMくんが働いている!」と納得したそうです。
 2回目の投入は、4月16日。1回目と同じく、150LのEM活性液を流し込んだのは、新4年生です。今回も、EMについて猛勉強されたという校長先生のわかりやすい授業で、子どもたちは目を輝かせてEMをプールに流し込こみました。清掃前のプールの状態は、藻やヘドロが分解されて、ヤゴやゲンゴロウ、アメンボウなど小さな生き物たちの楽園になっていて、「きっと子どもたちが喜ぶぞ」と校長先生もワクワクしたそうです。
 毎年行っている自然観察の時間では、例年になくたくさんのヤゴやアメンボウがいて子どもたちもびっくり。プール清掃の前に行われたヤゴ採りに歓声があがったそうです。EMを流して生物に影響はないかという心配は杞憂に終わりました。もちろん、もうひとつの不安、水質の問題は、水検査の結果、何の問題もありませんでした。

EMくんが働いてくれた!

安心らくらくEMプール清掃
 さて、待ちに待ったプール清掃の日は6月1日。初夏のような天気の下、6年生と5年生の体育委員たちが集合。昨年EM活性液を入れた5年生は、いったいどんな清掃になるのか楽しみでしかたない様子。一方、2年間プール掃除を経験している6年生は、プールの水の状況がまったく違っていることは一目瞭然で、「どうして?こうなったの?」とEMを学んだ5年生に聞いていたとか。
 例年は落ち葉などのヘドロが排水口に詰まって水抜きが一苦労だったのが、今年は、それらがなく非常にスムースに排水できたとのこと。掃除の方も、今までは底や壁面にへばりついているヘドロをブラシで落とせず、物差しや定規まで動員したのが、今年は軽くブラッシングするだけで取れてしまい、清掃時間も短縮。大人の助けもほとんどいらずにピカピカになった気持ちのよいプールにみんな大満足。「あっという間に終わり、ものたりないぐらいだった」そうです。 さらに塩素のにおいがない、滑らないから安全など、想像以上の効果があったと先生方も喜びました。
 山口校長は、この取り組みを振り返って「プールがきれいになればいいなと思って始めましたが、環境教育にもなると実感しています。とにかく、子どもたちが微生物の力を身近に感じられたことが最大の環境教育なのかもしれませんね」と語っています。

大人も子どもも一緒に プールから川や海をお掃除

 この取り組みを鎌倉市に働きかけたのは、地元の鎌倉・大船ロータリークラブです。同クラブの社会奉仕委員会では環境改善の一環として3年前からEMによる鎌倉市内にある池(谷戸池)の浄化や学校のプール掃除を支援しています。
資材提供と技術指導はロータリークラブの会員であるイーエムジャパンが行いました。ロータリークラブでは今年もプール掃除を支援することに決まっています。どこの学校が行うか未定ですが、山口校長は、「もう1年やってみたいし、できれば、継続したいですね」と希望しながらも、「他の学校に経験してもらえば、市全体で取り組んでもらえるかもしれませんね」とプールから始まる環境学習の広がりに期待しています。ことに塩素が入ったプールの水が川に直接流れる市内の学校には、市民から苦情もあるとか。学校運営にも環境に配慮が求められていますが、「そうした面でもEMが役に立つかもしれませんね」とも。環境学習はプールサイドから。そして、川へ海へとつながっていきそうです。