特集 環境教育
「えむえむ関東116号」より
=EMネット茨城=
我が園でのEM活用
やはた福祉会 大宝保育園理事長・主任保育士 山内清視

EMとの出会いは、10年ほど前に、八千代町の美容室(Misia)を経営する生井香代子さんからご紹介を受けたことに端を発します。米のとぎ汁EM発酵液を作って、主にトイレを始め、お掃除に使用することから始めました。毎朝全園児の雑巾がけと、夕方の園舎内やトイレのお掃除は、我が当保育園の20余名いる職員全員には割合早くに浸透したものの、それ以上の活用には繋がらず、4~5年が経過していきました。
 
 比嘉節子さんの講演会
 
足腰を鍛える毎日の雑巾がけ
2歳児クラスの雑巾がけの様子
 
そんな頃の平成21年2月に、生井さんに比嘉節子さんをお連れ頂き、保護者始め一般向けの講演会を開催してからは、EMの使い方がぐっと拡大・充実していきました。やはり節子さんのお力は大きかったと思います。
現在では、厨房で“米のとぎ汁EM発酵液”を定期的に作っていて、それを各クラスや手洗い場・テラスに置いて、全職員が毎日使うことが定着しています。

先ず当園では、始めに少し述べましたように、毎日8時45分から9時まで、雑巾がけをしていますが、これは床をきれいにするのと、足腰を鍛える目的から、全園児が実施しています。スタッフがバケツの水にはEMを添加したり、床にスプレーしたりします。雑巾がけが終わったら、9時~9時半までハイハイ運動を始めとする運動プログラムを、全園児が、子どもの発達に合わせた内容で展開しています。
運動遊びが終わったら、水を飲んで代謝をよくします。子ども達の飲み水は、逆浸透膜水を、EMタンクに入れたものです。タンクの中にはEMセラミックスのリングストーンを入れています。又玉ねぎの皮むきなど給食の素材を使ったりと、様々な素材を利用した“手と目の協応遊び(手指の微細運動)”をしています。
9時~10時の1時間で、全身の筋肉を使うことを毎日しているので、体幹をしっかりさせると共に、低体温防止のみならず、柔軟性や回避能力が身に付くようになり、手先も器用な子が多いです。
この1時間の取り組みが終わると、午前午睡(10時半~11時半)です。これは早寝早起きを考えた対策で、午後は昼寝をしないで、身体いっぱい遊ぶようにしているので、夜は早く眠くなるようになっています。

  生ごみマジック
夏季なら生ごみは何と2週間で完全に
土に分解してしまうのです
 
 給食生ごみをEMボカシと混ぜ畑にうめる
 
 ビニールシートをかけておく
 
 夏季なら生ごみは二週間で完全に分解
一方園舎についてですが、24年1月~6月に耐震化工事に加え、保育の充実を謀るため大規模修繕をしました。基礎だけ残してほぼ全面改修です。床をめくったところは、凄くかび臭かったのですが、EM発酵液を散布したところ、一晩で臭いが抜けたのには驚きました。耐震工事では、コンクリートを使用するところには全てEMセラミックスを添加してもらいました。現場監督さんが理解してくれて、いつもEMセラミックスの袋と秤りとボールを持ち歩いてくれていたのが今思い出しても微笑ましい姿です。お蔭様で完成した園舎は、とても気持ちよく仕上がっています。
大規模修繕の際、従来使用していた生ごみ処理機を移動しなければならず、移動すると老朽化もあって使用不可能になってしまうというので、大変困りました。生ごみを処理する機械は高額で、100万円以上もするのです。どうして生ごみに多額の経費をかけなければならないのか・・・。いろいろ経費をかけない方法を調べたところ、吉田俊道先生中心のメーリングリストの書き込みの中で、素晴らしい方法を教えて頂いたのです。
それは、生ごみにEMボカシと土を加え、その上にブルーシートをかけておくだけの極めて簡単な方法です。小サイズのブルーシートを5枚購入しただけで済みました。
夏季なら生ごみは何と2週間で完全に土に分解してしまうのです。分解したリサイクル土は、園庭の畑やプランター・花壇の土に活用しています

園庭の畑と言えば、庭のほぼ中央に配置してあるので、土づくりから子ども達と行っていますが、最初は吉田俊道先生に教えて頂きました。3月中旬、子ども達が家庭から野菜くずを持ち寄って、細かく手でちぎり、足でつぶして細かくしたものを、EMボカシと混ぜて畑に埋めてビニールをかけておくものです。4日目には菌ちゃんを見ることができ、5月の連休明けには夏野菜の苗を植えます。今では毎日子ども達が楽しんで収穫し、厨房へ運んでいます。

生ごみ処理や畑の土づくりに欠かせないのが、EMボカ
 
 楽しくEMボカシ作り
攪拌機等を運んできて下さった
EMネット茨城代表の飯塚敏夫さんと
シですが、これも手作りしています。それまでは栃木県にある“EMネット益子”さんにお世話になっていましたが、昨年から“EMネット茨城”代表の飯塚敏夫さんが攪拌機等を運んできて下さって、園の子ども達と楽しく作ることができるようになりました。今年もつい先日行ったところです。
この他、米のとぎ汁EM発酵液は、放射能対策として、園庭全体に週5日散布しています。又、虫よけスプレー・おしりふき・加湿器・野菜洗い等に使用し、プール遊びの際には、塩素に代わってEM発酵液を添加するなど、今やなくてはならないものになっています。
床のお掃除ももちろんEMを使っているので、昼食時、床に落ちたものでも拾って食べることがあっても安心です。

保育園始め教育関係機関では、塩素系での消毒が当たり前です。日本人が最も免疫力が落ちているとも言われているのは、こういうこともあるのではないでしょうか。殺菌・滅菌ではなく、菌との共生が大切だと思います。
梅干しや味噌も子ども達と作りますが、ゆっくり時間をかけて熟成するものこそ、本当の発酵食品で、小さいうちから日々の生活の中で取り入れていくことが大切だと思っています。食についても、牛乳は使用しない、マーガリン使用のパンは食べないなど、こだわりを持って、子ども達の為に考えていきたいと思っています。

私たちの活動は『ハチドリのひとしずく-今、私にできること-』(辻信一監修)ですが、仲間を増やすことで、大きな力になります。生井さんを中心に「世界平和と環境を考える会」を結成し、6年前から毎年比嘉照夫先生をお招きして、講演会を開催しています。
又、保育の経験談を披露させて頂く機会がたまにありますが、そういう時には必ずEMの実践例を紹介しています。

今後も仲間の皆様方に支えて頂きながら、一歩一歩前進していけたら幸いです。

 大宝保育園 園庭の畑づくり
   
 ① 3月子ども達が家庭から野菜くずを持ち寄って、
細かく手でちぎり、足でつぶして細かくします
 ② EMボカシと混ぜて畑に埋めます
   
 ③ ビニールをかけておく。4日目には白い
菌ちゃんを見ることができます
 ④ 5月の連休明けには夏野菜の苗を植えます。
今では毎日子ども達が楽しんで収穫し、
厨房へ運んでいます