特集 環境教育
「えむえむ関東127年度号」より
=EMネット栃木=
EMを活用した野菜作りにチャレンジ
EMエコの会佐野 津布久義秀

EMとの出合い
今から15年前、足利市立葉鹿小学校の環境学習におけるEMを導入した実践を知りました。その素晴らしさは、1年から6年までの発達段階を考慮し、系統性を大切にした環境学習で、EMの導入をていねいに組み込んだ内容でした。ぜひ、その素晴らしさを自分の学校でも取り入れたいと思いました。
当時、佐野市では全学校で毎日牛乳パックを洗って乾燥させて回収し、リサイクルしていました。その際に大量の洗い水を排出していました。そこで、洗い水をEMで発酵させて、プールに投入しました。すると、今までバスクリーンのように濁っていたプールの底のラインが見えるようになり、壁の藻が分解され底に沈殿しました。そして、ヤゴが発生し、2年生は水槽で飼育し、トンボの羽化する様子を観察しました。
EMは水生生物にも優しい住みやすい環境に変えてくれます。これで、今までのようにクレンザーや洗剤等を使わなくても、デッキブラシでこするだけできれいになり、排水を流しても周囲の環境を汚染する心配もなくなりました。
特に、清掃に費やした時間は今までの半分以下で済むようになり、児童たちの負担が減っただけではなく、EMの効力を実際に実感したことでした。
   
   

 
次に、5年生がテーマ別に環境学習に取り組みました。あるグループは「EMは稲の成長に効果があるか」という課題を立て、バケツ稲にEM活性液を継続的に与えました。
その結果、大きく稲が育ち、しかもたくさん稲穂が付きました。児童たちは、EMのもつ力を確信しました。




            
   
次に、校内の花壇をエコファームとしてEMの活用に取り組みました。環境委員会が作成している米のとぎ汁や牛乳パックの洗い水で作ったEM発酵液を散布し、サトイモ、キュウリ、落花生、ナス、ポップコーン等を栽培しました。
数週間後には、驚くほどの大きさに成長しました。環境学習は、なす事によって学ぶ実践躬行しかありません。
数週間後、驚くほど成長しました。まさに何も語らない植物が、成長する姿でEMの効果を実感させてくれました。環境学習では、「なす事によって学ぶ」ことが大切で、まさに実践躬行です。
   

EMを活用した野菜作り
平成27年の6月中頃から、耕作を依頼していた畑2反を自ら耕作することになり、EMを活用した野菜作りに取り組むことになりました。
実はこの畑はもともと水田で、戦時中に食料増産のために、用水路を引き、雑木林を開墾し、水田にした場所です。しかし、「田なし、水なし、井戸深し」といわれ、小石が多く粘土質の水田にあまり適さない土地でした。 これまで稲を栽培していましたが、ここ数年耕作をお願いしていた農家では、ビール麦と蕎麦の栽培をしていました。畑にするには厳しい土壌ではありましたが、出来ることから始めようと、大根、綿、オクラ、ポップコーン、ナス、キュウリ、アスパラガス、さつまいも、里芋、トマト、みず菜、大豆(枝豆)、野沢菜、ブロッコリー、かき菜、人参、白菜、エシャレット、タマネギ、長ネギ、ほうれん草、春菊、カブ、みつば等を栽培しました。
 
 
 
 
 威力発揮!
EM10リットル活性液製造機
しかし、既に7月に入り、種まき時期を逸していた感じもあり、うまく野菜が育つのか不安でしたが、EMの力を信じて活性液の散布とEMボカシ鶏糞ペレット、EM生ゴミ堆肥の液肥、牛糞、豚糞等を活用して栽培に取り組みました。
周囲の畑の野菜と比較すると、明らかに出遅れていましたが、後半、ぐんぐん盛り返し、オクラ、ポップコーン、綿は遜色ない大きさに成長しました。
最初に収穫できたのは、キュウリ、ナス、オクラでした。主にEMボカシ鶏糞ペレットとEM活性液の散布で栽培しました。
200本ほどのオクラは種まきの時期が遅れたにもかかわらず、他の畑のオクラより大きくなり、大量に収穫が出来ました。
綿は後半急激に伸び、今まで栽培した時の大きさを超えて成長し、あらためてEMのもつパワーを実感しました。
大豆は周囲の大豆畑より種まきが数週間遅れたので、収穫まで間に合うのか心配でした。成長も遅く、丈が低いので、肥料不足か、土壌に何か問題があるのではと悩みました。そこで、EM活性液を週3回ペースで散布し、EMボカシ鶏糞ペレットを施肥しました。  
しかも一反の畑に作った大豆なので、EM活性液投入も大変でした。これを支えたのが、足利水土里探偵団理事長の大島由臣さん自作の10リットルEM活性液製造機でした。
EM1号100㏄、きび糖10g、自然塩10g、EM活性液100cc、糖蜜100g、水10ℓを電熱ヒーターで35℃以上に保ち4日間、さらに常温で2日間置いて完成します。これがEM活性液の散布に大いに役立ちました。
それにもかかわらず、周囲の大豆と比べて丈は伸びず、やがて花も咲き始めたので心配になりましたが、驚くほど実が大量に付きほっとしました。しかも病害虫に犯されず、ほとんどを枝豆として収穫し、残りを大豆で収穫しました。収穫した枝豆の茎が太くしっかりとし、根もしっかり張っているのに気付きました。このことが病害虫の予防にも、EM活性液の効果があったのだと確信しています。
 枝豆やポップコーンの収穫後は、畝を残したまま、収穫後の葉や枝にEM活性液とEMボカシで処理した生ゴミ堆肥を加え、透明シートで覆い太陽光で発酵させました。   
その後、大根やブロッコリー、白菜等にEM3号を加えてEM活性液の希釈液を定期的に散布し続けました。その結果、大根にはあまり適さない土地でしたが、まっすぐに伸びた大根ができました。特に、EM活性液を投入したことにより、沢庵大根は土中深くまで伸びていました。EMを散布すると、土が軟らかくなり、根が深く張るということを聞きましたが、そのことを実感しました。
今にも枯れそうな1本50円の長ナス苗が背丈ほどに育ち、しかも11月になっても花を咲かせ実を付けていました。近くの畑にあるナスが枯れ始めているのに、元気で青々した葉を保っていました。
また、不思議だったのは、涼しくなってから実をたくさん付け、12月になって葉が枯れても、元気に実をつけているトマトでした。これもEMの力であると思いました。

足利水土里探偵団でのEM野菜の朝市
 
 NPO法人足利水土里探偵団の
店舗での野菜販売
足利水土里探偵団では、月・火・木・金に朝取りEM野菜市を開催しています。食の安全を大切にし、それにふさわしい野菜の栽培を普及する活動の拠点です。  
趣味で楽しい野菜作りをしていましたが、10月に朝市への出荷を勧められました。
さすが長年EMで野菜作りをしている人の野菜は、どれも元気で見事です。そのため、最初の出荷は不安でしたが、自分の野菜が売れた喜びと同時に真剣に野菜作りに取り組もうという緊張感が生まれました。

安全な野菜作りを目指して
現在の畑は、水田として開田された時に用水路が整備されました。ここ数年、用水路には水が切れることなく流れ、ドジョウ、スジエビ、サワガニなどが生息しています。今年も、12月になっても水が豊富に流れ、野菜作りにも助けられています。
ところで、畑の周囲では、大型の耕作機械による大規模農法が進められ、農薬と化成肥料を多用した栽培が行われています。しかも、農道や畦道は、草刈り機による除草に代わり、除草剤の散布による草退治です。さらに目を疑うのは草だらけの耕作地に、除草剤を散布している現状です。こうした化学肥料の多用、農薬や除草剤の散布により水質と土壌の汚染の中、作物栽培が行われていることへの不安です。安全・安心な食を考えるときに、将来を担う子どもたちの健康のために、無農薬で除草剤を使用しない有機野菜栽培農業への転換が喫緊の課題ではないでしょうか。

生物多様性と土作り
畑の周囲には野菜畑が少ないせいか、カラス、野鳥、蝶々等様々な生き物が集まってきます。野鳥や虫たちは農薬や除草剤を使用していない安全な場所であることを自然の本能で理解しているようです。
農薬や除草剤を使用しないためには、アブラムシ対策として、EM液体石鹸の200倍希釈液散布や「健康宣言28」で取り上げられた、国産の海水塩による塩除草があり、チャレンジしました。畑の周辺の畦道の除草に効果が見られ、今後塩害に配慮しながら、継続して実践していきたいと思います。

昨年まで3年間、公民館のロータリーにEMを活用して花や野菜を栽培していました。
花や野菜の成長の良さと土の中に、今まであまり見られなかったミミズが大量に出現し、土壌の改善が見られました。この経験を生かして、野菜作りの基本である土作りをさらに学んで、体に良い野菜作りを進めます。
今、畑にイチジク、サクランボ、みかん、チョコレートベリー、すだち、プルーンを植えました。育って実を付けるには数年かかります。畑の土作りには時間がかかりますが、果実の木の成長を楽しみにしながら、ゆっくり地道に進めていこうと思っています。

最後に、6年間継続して使用しているEMXゴールドのためか、ほとんど風邪にもかからず元気で野菜作りに励んでいます。これからは、昨年から取り組んでいる「みかもエコクラブ」の会員の子どもたちに、多くのEMの仲間と共に、自らの実践を通して学んだ環境の大切さを伝える活動を続けます。