生ごみの有効利用
 
「えむえむ関東110号」より
=EMネット山梨=
ごみ焼却施設・屎尿処理施設・有機物の循環利用
山梨のEM活用事例取材報告
                                             株式会社RVC 鈴木俊規

1.山梨県の概要

 県域は、中西部の甲府盆地を中心に、南に世界遺産の富士山、西に南アルプス、北に八ヶ岳、東に奥秩父山地など、標高2000mを超す山々に囲まれています。葡萄や桃、サクランボなどの果樹栽培がさかんで、葡萄からワインの醸造も行われています。首都圏や中京圏から近い地理的条件を活かして観光農園として観光客を集めています。

2.峡南衛生組合

 
 焼却場へのEM活性液の散布
 山梨県の南部に位置した身延町にある、峡南衛生組合のごみ焼却施設・屎尿処理施設・食品廃棄物堆肥化工場でのEM活用事例を紹介します。
 南衛生組合の可燃ゴミの焼却施設(ストーカー方式)では年間約5,500tを処理しています。「峡南衛生組合」は一部事務組合の行政管轄の公共施設ですが、民間活力の投入で現在の遠藤稔所長を中心にEM革命が始まりました。
 職員の人体への影響や環境負荷を考慮して、ごみを溜めるピットにEM活性液を常時噴霧しています。配管などの設備はそのまま利用し化学薬品からEM活性液に切り替え、臭いやハエなどの発生抑制に活用しています。
 また、EM研究機構の指導を受けながら、焼却炉の耐火煉瓦修繕時に耐火セメントにEMセラミックスを使用し、炉壁等へEM活性液の噴霧をしました。
 
 
 アークサンドのテレビ取材 
   
 八木崎公園アークサンド施肥状況
比嘉照夫教授 八木崎公園視察
 
富士山と八木崎公園のラベンダー 
 
糞尿処理施設の放流水 
 
糞尿処理施設の放流水で飼育中の金魚 
 
現在、焼却炉から排出される焼却灰を焼成し無害化にした人口砂(アークサンド)を有効利用していくという遠藤所長の構想もあり、有害試験検査・実験研究を経て、今年から富士山麓の富士河口湖町では、観光名所の八木崎公園のラベンダー畑へアークサンドを施肥し、草取りなどの管理費用の軽減、木の生育状況は今までにないほど良くなり、ラベンダーの芳香も良くなったと担当課長も喜んでいます。
 また人口砂(アークサンド)は、路盤材に使えばアスファルトに比べて保水率が高いので温度を低く保つことができ、気温が下がりにくいヒートアイランド現象を抑える機能があります。ブロック状にもなり歩道などにも使用できます。焼却灰が新しいリサイクル資材として生まれ変わりました。
 屎尿処理施設では、今まで焼却処分されていた脱水汚泥の堆肥化と施設内外の臭気抑制と処理廃水の安全性の観点から、EM活性液を毎日200?投入しています。処理廃水を利用した水槽の金魚も元気です。 
 食品廃棄物堆肥化工場では、「資源循環プロジェクト」という民間団体での3年間の事業を経て、食品廃棄物処理部門として2008年4月より誕生しました。
 可燃ごみの内、事業所系(身延山宿坊・下部温泉旅館・飲食店・町施設等病院など)の生ごみを年間約240t収集し堆肥化しています。
 これは、2008年7月より山梨県特殊肥料認定の有用微生物発酵堆肥「峡南1号」として販売を開始し、現在は、脱水汚泥を使用した農林水産省認定の堆肥となっており、品薄状態が続く程町民の方々に愛用されています。
 有用微生物発酵堆肥「峡南1号」は、即効性・遅効性・すき込み用・追肥使用・少量使用・大量使用・野菜・果樹・花木などオールマイティーに使えます。
 無農薬有機栽培は地球温暖化に対して極めて高い抑制効果があります。有機堆肥から育成された腐植物質による、二酸化炭素の吸着効果が森林の約5倍あります。要するに無農薬有機農業は皆様の生活や健康を守り環境を守り、世界規模で貢献できるのです。
 と遠藤所長は熱い思いを語ってくださいました。
 峡南衛生組合では、焼却場・屎尿処理場・食品廃棄物処理場を小学生の環境教育の環境ツールとして利用していただいております。 また、身延町では環境活動普及のため、各種団体や地域で行われる「米のとぎ汁EM発酵液作り」「EMボカシ作り」などの講習会をおこなっていますがその材料費を負担しています。
 もっと詳しく知りたい方は、インターネットのDND研究所比嘉照夫氏「甦れ!食と健康と地球環境」をクリック(http://dndi.jp/19-higa/higa_70.php)し、第70回および第71回 「EM技術で資源工場化を達成した山梨県身延町の峡南衛生組合」を閲覧して下さい。

   
 
 有用微生物発酵堆肥「峡南1号」
   
 限界突破の菜の花(堆肥の実験場)


3.NPO法人「エコクラブみのぶ」の活動

 
 
 
NPO法人「エコクラブみのぶ」では、食品残さを回集しEM発酵飼料つくり、それを餌として与えて養鶏を行い、安全・安心な卵を学校給食で使用し、また、発酵鶏糞による農産物の生産活動が行われています。同じ意識と活動をしている私たちとお互いの製品について意見を交換しEM技術を高め合っています。
 回集先の下部温泉下部旅館振興協同組合おかみの会会長依田由有子様から「有用微生物醗酵堆肥峡南1号を使って生産された農産物を提供していただけないか」との相談がありました。
 農産物については「エコクラブみのぶ」や 団塊世代の方から若者や農業へ転換を考え始めている土木建設業の社長さんなど、農業へ興味のある皆様の力をお借りし、休耕田畑を再利用し循環型地域を構築してゆこうとしております。
「エコクラブみのぶ」で生産された100%国産有機EM小麦粉を使用して、地元の製麺屋さんが製造した山梨名産のほうとうやうどんとEM発酵飼料を与えた鶏卵を下部温泉旅
 館で味わえるシステムを御提案させていただきました。下部温泉郷での安心・安全な食材が提供でき、温泉郷の集客から地域活性に役立てればと思います。
   
 エコクラブみのぶの発酵鶏糞は国産有機小麦の生産に
使われている。生産された小麦で作られたほうとうや
うどんは地元下部温泉旅館で人気だ


4.株式会社のっぷいの郷 

 市川三郷町でも、今まで焼却処分されていた動植物残渣を回収しEM発酵飼料をつくり、養鶏を行い、鶏卵と鶏糞を販売しております。卵アレルギーの方も安心して食しています。
 平飼鶏卵は山梨県農産物認定も受け6ヶ入300円で販売され、道の駅などで販売され好評です。(問合せ先:TEL055-272-1539)
 EM発酵おからボカシ・パンボカシやEM発酵飼料の完成度は高く、鶏舎の臭いも無く平飼い養鶏から出る鶏糞も高品質です。
 完熟した発酵鶏糞は畑に施肥すると、土が柔らかくなり、暖かみのある畑に変わり、抗酸化力のある安心・安全な作物を育成します。今後地域町民や行政と連携し継続的な活動につながる事と感じました。
     
  のっぷいの郷の平飼養鶏と卵。「エコファーマー」による逸品の山梨県認証

5.農業法人 株式会社 エコモス

 
 
 
山梨県は日本一の桃生産地です。笛吹市御坂町笛吹リサイクルプラント 鈴健興業株式会社の、農業法人 株式会社 エコモスでは、生木のみを扱った木チップを完熟させた堆肥と、EM発酵した動植物残渣と鶏糞を、巧みな操作でパワフルな大型重機で大量に破砕・攪拌・混合し完熟堆肥を製造しています。
 堆肥の特徴としては、木質系の炭素が多く含まれているので、多く施肥できます。有用微生物発酵資材入り完熟堆肥の肥効は、即効性と遅効性の2面の効果があります、使い続ける事により、土の偉力を発揮させ暖かくて、やわらかで、しっとりしている土壌になります。窒素・リン酸・カリの他、農産物の代謝を活発にする有機微量ミネラルが豊富に含まれている為、果実や野菜などの農作物の糖度も上がり、病気・害虫に強い丈夫で健康な農産物生産が出来ます。地域の環境保全に貢献し健康増進・安心・安全な農作物の差別化、ブランド化が可能です。
 完熟堆肥の販売から、桃・蒲萄の販売、ワインや鶏卵の販売など手掛け、ブランド化しております。鈴木社長の地域愛に溢れた思いが伝わりました。

   
 
 

6.地球に良い事・体に良い事

 
 水は地球上で限られています。有機堆肥の大地への施肥は水質を保つ、ろ過フィルターです。出来る限りの上質な有機堆肥の施肥を心がけて頂きたいです。パワーのある良質なEMボカシ・EM活性液が基本です。“五感と直感”で感じ、“見るよりも観る”自然の摂理で解いてゆく事が大事です。
 私は、株式会社RVCという会社を4年ほど前から立上げ、峡南衛生組合の食品廃棄物堆肥化のEM培養や施設のメンテナンスのコンサルを請け負っております。
 今後は、もっと幅広く視野を広げた起業活動をしてゆきたいと思っております。現在、静岡県浜松市や島根県出雲市への捨てられ燃やされるごみを有用微生物によって発酵させて堆肥化しています。土壌が良くなるリサイクルを応援していきます。