生ごみの有効利用
 
「えむえむ関東128号」より
=EMネット茨城=
「土浦市EM生ごみ活用有機菜園を指導して」
〜夏野菜 栽培の基礎〜
              茨城県かすみがうら市 飯塚敏夫

はじめに

土浦市の平成22年改定「土浦市バイオマスタウン構想」では、生ごみを資源として有効利用し、循環型社会形成を図ることを主要な方策の1つとして掲げ、県南地域を代表する市民協働型快適環境都市を目指しています。
具体的には、EMボカシ容器やコンポストなどの生ごみ処理容器により堆肥化する自家処理の推奨、資源化施設でのバイオメタン発酵処理による再資源化の実施、住民等への普及啓発の推進を掲げています。

EMボカシ容器については、平成7年度に行ったモニター調査が好評であったことから、平成8年度より無料配布されています。平成17年度には、容器の配布に併せて、講習会を開始し、平成22年には有機栽培専門の「中村西根市民農園」が開設されました。平成24年度からは配布を年2回に増やすなど、拡充を図りながら、現在は,毎年約200世帯の方へ約400基のEMボカシ容器を配布しています。

 
 有機市民農園で指導する飯塚敏夫さん(中央)
私は当初よりEMの技術指導をお手伝いしています。
この3月、千葉県栄町のさかえ水土里の会より標記の講演を依頼されました。当日の内容を会の方が当会の会報用にまとめてくれましたので紹介させていただきます。

生ごみはEMで肥料にしましょう

当日は土浦市で配布されている「EMぼかし容器を活用しよう」が参加者に配られました。このリーフレットは初心者に優しい作りになっています。、
生ごみ肥料の作り方の手順、上手につくるコツ、できた肥料の使い方、失敗した時の処理のしかた、ボカシの取り扱い所はもちろん、置き場、処理の頻度、できた肥料量、気を付けた事など活用者の10項目の調査結果例や有機市民農園の案内、また容器をきれいに使うこととして、EMを使うことや日陰におくことなどの情報も載せてあり土浦市の熱心さが伝わってきます。
   

さらに飯塚さんは、有機市民農園の経験から、家庭菜園はこの生ごみ肥料とボカシ1型だけで味のよい野菜が出来、連作障害も起きないことなども話されました。豚ふんや鶏糞を使いたがるが窒素が多く虫がつきやすい味の悪い野菜ができやすいといいます。また、畑がなくてもプランターや底に数か所穴をあけた肥料などのビニール袋でも野菜が栽培できると当日は、ホウレンソウとルッコラが育ったプランターが展示されました。

免疫力の高さや血管のやわらさで死の淵から救われた自らの経験から、「体は食べ物からつくられている」ことを実感したと、腸内細菌を整えるよう、化学薬品を含む食品・水を避け積極的に発酵食品やEM(有用微生物)が育てた野菜ををとることの大切さが話されました。



夏野菜の栽培

なす
小家族の家庭菜園なら苗4本位植えると充分でしょう。上手に育てると草丈は背丈位になり、1本の木から200ケ位のナスが穫れます。5月に定植して、内2本は6月の終わりに図3のように切り戻します。切った下から新芽がでてきます。残りの2本はふつうに収穫を続けます。残したものは9月頃くたびれてきますが、切り戻したものは、8月のナスがおいしい時期にたくさん実をつけ、11月ごろまで収穫することができます。
 
ナスの仕立て

枝が込み合うと風通しと日当たりも悪くなり果実にキズがつきます。仕立てはA主枝(最も太い枝)の一番花が咲いた後、花の下に生えた太い脇芽(B・C)を2本伸ばして「3本仕立て」にします 
   
  ナスの収穫と側枝の剪定
仕立てた3本の太い枝から発生する側枝は図のように剪定をくりかえすと良質な果実が多く穫れます
       
 @花の先で枝を切る
 A@で残した花が収穫できる
大きさの果実に育ったら収穫
して枝をきる
B側枝から発生した「第一孫枝」
は1花の先で枝を切る
   C続いて発生した「第二孫枝」も
1花の先で枝を切る
D「第一孫枝の果実」を基部を
切って収穫。
これ以降果実を収穫→枝は基部
で切る→新枝も花の先で切る→
収穫を繰り返す
       
   
 図.3 ナスの切り戻し(更新剪定)

6月の終わりに点線の位置で切ります。
同時にうねの両脇に溝を掘って、ボカシ200g位を
施して埋めます

(図:いづれも自然農法家庭菜園の手引きより)



トウモロコシ
朝のとりたてのトウモロコシのおいしさは格別ですね。病気にも強く育てやすい野菜です。ただ、穂(雄花)を食べるアワノメイガ(芯食い虫)やヨトウムシ、アブラムシが出ることがあります。対策としてアワノメイガは雄花が咲く前に一掴みの一型EMボカシを穂がでるところにまいておくと寄り付きません。アブラムシには晴天の日に牛乳を原液で噴霧すると、牛乳の膜で窒息する。一度に多くの追肥をするとアブラムシが出やすいのでうすく回数を多く、濃い緑色の葉にならないように観察しながらおこないます。ヨトウムシは、ハコベを生やしておくと害がないように思います。

飯塚さんは脇芽を伸ばすとそこにも実(雌花)がつくので伸ばして、1本から2本を収穫しています。トウモロコシの実は上部から熟してくるので、下部のは幼いうちに切り取ると良いでしょう。
一条に植えるとてっぺんの雄花の花粉が付きにくく受粉しないので必ず2条以上に植えます。
 アライグマ(モロコシの木を倒して実を食べる)やハクビシン(木は立ったまま)の害があちこちで問題になっていますが、この対策は柵をする以外対策はないようです。

トマト
 トマトの原産国は南米の乾燥したところ。湿度の多い日本では初心者には、大玉トマトは難しいのでミニトマトや中玉から挑戦しましょう。1本の苗に1本の支柱に誘因するのが一般的だが、私は、苗1本に1m間隔で4角に4本その周りに螺旋状に右回りで伸ばして4mから5m伸ばします。脇芽はこまめに取りますと鈴なりにトマトが成り11月まで収穫します。家庭菜園では2〜3本植えると充分な収穫があります。この方法はサツマ芋やカボチャでも応用できます。サツマ芋はやせ地のほうが良く、葉が100枚〜50枚で3〜4本のいい芋がつきます。
 病気には米酢を25〜50倍にうすめて葉や根元にかけると効果があります。
 苗が伸び始めたころ敷き草します。敷き草は薄くなるので、梅雨入り後、梅雨明け後に繰り返し行い徐々に厚くしていきます。
         
 トマトの樹勢の診断と追肥
3段花開花時に樹勢の強さを判断する。強い時は2・3本立てにします。   
         
 樹勢が弱い
葉があせた色でやや
上向く
追肥50g/1株
  適度な状態
 葉色が濃い
 追肥20g〜30g/1株
  樹勢が強すぎる
 葉面に凸凹があり
 内側にまく。
 追肥は不要
   5段花、7段花開花時にも診断し追肥。 追肥は根元を避け、うね全体にぱらぱらとかけ、その後敷き草で覆い、かん水して土壌に浸透させる

キャベツ
キャベツを植えたら青虫がつくのは避けられないでしょう。まず苗を買ってきたら、葉の裏側を見て黄色い小さな粒々があったらそれは卵なのでつぶしてから移植します。
根がポットの中でとぐろを巻いていたらよくほぐしてから植えます。植えたらサンサンネットをかけて虫よけしましょう。
 ナメクジがつくとの会場からの質問に飯塚さんは「ナメクジがいる畑はまだEMが足りないので、年々よくなるのでEMを使ってみましょう。生ごみを容器では肥料を作っているのですからEMボカシをたくさん使いましょう。ボカシの作り方は簡単ですし、買って使うと高くつくのでお仲間で共同作業することをおすすめします」と答えていました。