特集 自然農法とEM  
「えむえむ関東103号」より
=EMネット栃木=
EM活用と水稲栽培技術の変革による
自然農法の実現を目指して

EMネットましこ 床井 剛

 
慣行栽培から自然農法を目指した理由
 
 農産物の生産を殺虫剤や殺菌剤を使う中で、私の体が農薬に過敏に反応するようになっていきました。
 例えば、農薬の調合を始めると同時に吐き気を催すようになったのです。
 この状態から脱するためには、農業生産技術を変えて自然の循環に逆らわない農法で、元気な農作物を如何にして生産するかを実現させることの大切さを痛感いたしました。
 こうして、減農薬栽培への取り組みからスタートしたのです。

水稲栽培への取り組みの変遷

 私は化学肥料や農薬などの使用による省力化や効率化から、農業の生産性が向上するという「慣行農法」の時流に乗って、水稲栽培に取り組んでいました。
 しばらくは、収穫量も安定状態で推移していました。
 しかし、前項で述べました通り、農薬による体調不良は年々敏感になり、体が受け付けなくなってしまいました。
 そこで、土づくりの基本から取り組むことから始めることにしました。
 土づくりに必要な資材は有機物を優先的に投入しました。
 発酵・乾燥豚糞や微量要素を含む石粉(ミネグリーン)や米ヌカや微生物資材を使用するようにしていくと化学肥料を減らすことが可能なことを実感できるようになりました。
 ここまで到達するのに7年の期間を要しました。
 こうして、農薬を使わない水稲栽培を行うにあたり、自然農法の具体的な行動をしてきました。そして、農業技術の確立に向けた取り組みの方向も見えてきたのです。
 その中でも、特に、微生物活用による波及効果を伴った生産活動に強く引きつけられて、関係する皆様方のご指導のおかげで、昨年、ようやく自分でも納得のできる栽培技術に近づけたという実感を得るに至りました。
 その大きなポイントとして3点あげたいと思います。
 
@先ず、第一にEMを使った除草
 田植え後、5日以内にEM米ぬかボカシを反当り60kg散布し、深水管理を実施した結果、前作が大豆圃場でしたが、ヒエやコナギ等の発生をほぼ抑制することができました。
A全面除草機投入による反当り収穫量の増加
 除草機を田植機の本体に牽引し、水稲の畦間と株間を同時に除草することにより、反収が1.5〜2俵増加しました。
B微生物の分泌物利用による害虫対策(忌避効果)
 穀物を微生物が分解した黒い液体(違和感のある臭いがする)を150〜300倍液で散布することにより、クモヘリカメムシの被害を減少させ斑点米の防止策となります。

栽培方法を変えたことによる水田の現象変化

 米ぬかを投入したこともあったのか、水田の土壌が柔らかくなったり、荒代掻きと本代掻きの二段構えによる雑草駆除、田植え後のEMボカシのペレット散布による雑草対策により、コナギ、オモダカ、ヒエ等の雑草を徐々に減らすことが可能になりつつあるなどの手ごたえが見えてきました。
 
消費者の反応 

 私の作った米を食べていただいた消費者から「とても美味しいですね」と言う声も聴けるようになりました。私の農場では化学物質を使わずに栽培しているのだと説明する私の話に納得して買ってくださる方も増えてきました。
 そうした皆様の、安心した表情を垣間見る時、とても心豊かな気分になり、更に頑張ろうと心する昨今です。
 
今後の方向性

 今までの栽培技術をさらに磨いていく上でEMの有効活用には特に力を注いで行きたいと思っています。 そして、今、一番望んでいるのは、人体に害を与えない微生物が沢山生きているような水田で栽培された「元気で美味しい」米作りに全力で取り組んで行きたいと思っています。
 私の作った米を、美味しいという人の輪が広がることを願いながらEMを活用した米作りを楽しみたいと思います。