特集 水の浄化活動ととEM

掲載記事:「えむえむ関東67」より

グリストラップ浄化施設の相乗効果で排水路を浄化
=EMネット埼京発=
 EMネット埼京(有)フォレスト 竹井 禎
まんまる食堂のご夫妻と清掃作業後の筆者

 当社は埼玉県北部に位置する熊谷市でEM を使用した水質浄化を中心として営業展開している企業です。
 今回はグリストラップに「マシコクリーン」を設置して浄化し、その浄化水の高機能性による相乗効果で排水路の水質浄化をした報告をします。

 自宅の近所にある「まんまる食堂」さんはうどん・和風ラーメンの美味しいお店として賑わっています。
 あるきっかけから油脂分離槽(グリストラップ)の臭気・油脂処理・排水管の詰まり等の相談をうけ、早速活性液によりグリストラップ内の浄化を始めました。
 活性液の機能性を高める為、投入時間・投入量活性液の質等を研究しトライアルしていくと放流排水は透明度が増しきれいになりました。
 しかしグリストラップ1槽目の固結油脂がどうしても解決出来ませんでした。
 これは、ラーメンスープを豚殻で取り余ったスープを厨房より流しているので油脂分が多い排水となっている事が原因でした。同時に排水路との位置関係で設置されていた強制排水用水中ポンプが故障し排水出来ない状態になってしまいました。
一般的に食堂等から排水される水質はBODが600〜700・N/H(ノルマルヘキサン)が200位と高い事からこの現場では放流先の排水路もヘドロがたまり夏場では悪臭がありました。  
そこで店主の富岡さんと話し合い、以前から注目していた「マシコクリーン」をグリストラップに使用してみようと言う事になり、設置し水質浄化が再び開始されました。
 「マシコクリーン」は「えむえむ関東60号」でも紹介された浄化槽前処理装置でありEMの水処理能力を最大限に引き出す装置です。   
 「マシコクリーン」をグリストラップに使用するのは今回が初めてのケースで投入液も通常のもの
現況グリストラップ固結油脂が残る 「マシコクリーンV型」施工中

ではなく、より活性化を高くする必要があるので調合に試行錯誤しました。
 活性液は通常通りEM1・糖蜜を使用しさらにEM2・3や良質なボカシ・現地排水・石鹸等を混合し調整しました。
 投入量は生ゴミ処理バケツ(18L)を利用し活性液原液を投入するケースと50倍に希釈投入するケースを毎日繰り返しました。
 施工後(H17-6月施工)2カ月ほどしてから3種類の活性液を考案し1カ月ごとに水質試験をしました。
 水質試験の結果は思っていたよりも良く、EMの効果をより実感しました。
・H17−8(活性液タイプT)18L/日
 BOD→100   N/H→60
・H17−9(活性液タイプU)18L/日
 BOD→140   N/H→34
・H17−10(活性液タイプV)18L/日
 BOD→110   N/H→18

活性液投入試験を終え結論として活性液タイプVを使用すると未処理排水に対しBODが1/6でN/Hは1/10程度まで浄化される事がわかりました。
写真の通り「マシコクリーン」の内部でも1槽目ではオイルボールが見られますが3槽目に流下するとほとんど見られなくなりました。もちろん以前様な悪臭はありません。お店のみなさんにも大変喜んで頂き、なにより店主さんより「これからグリストラップの清掃をする手間が省ける」と言って頂いたその笑顔を見たとき、やりがいを感じました。現在では活性液を良質化し週2回の投入で維持出来るようになりましたが、さらに良質化させ週1回の投入で済むように奮闘しています。 

今回の報告はそれで終わりではないのです。

 当社では排水施設等の設計計画・施工・管理を行うので今回の施設も計画・設計にからみ放流先が用排水路だったため占用許可を申請しました。
 現況の汚水処理は単独槽でありましたが排水施設の一部変更と言う事で汚水とは別に直接放流する事で許可されました。
 浄化槽を流下しないと言う事は最終的に滅菌されないと言う事になるのです。このことにより放流先の用排水路に大きな変化が起こりました。
 その排水路は近隣の住宅が利用している排水路ですので毎年1回隣組で清掃を行います。
 今まではヘドロをシャベルでかい出していましたが、その作業は過酷で排水路脇に小山が出来るほどありましたし、何よりも作業中の悪臭はすごい物がありました。(自分自身も排水路清掃の時は仕事にかまけて避けるほどでした・・・すみません)
 ところが今年の清掃では、そのヘドロがほとんど無くなっていました。隣組の皆さんもシャベルで取ろうとすると水分がほとんどでヘドロらしき物はとれず排水路脇に置こうとしても流れてしまい小山にもなりません。そこでシャベルで下流に押し出す事にしました。食堂の店主さんは最後列から竹ぼうきで掃いて清掃をしました。
そして、最大の喜びは作業中の悪臭が無い事です。このことは隣組の皆さんに大変喜ばれました。
以前までの清掃時間は約1時間程度必要でしたが今年は30分位で終了し、EMの効果の説明をする時間がありました。隣組の皆さんが口々に「今年はヘドロが無いね」「臭いも全然臭くないね」と大変喜びながら評価して頂きました。
この評価の一因として排水路の途中に合流してくる排水路があり、そちらの排水路からはEMは投入していないので、今まで通りヘドロや悪臭がある事でハッキリと違いが理解されたと思います。
 施工当初はいくらBODが約1/6に下がっても生物が生存出来る排水ではないので排水路に対する影響を懸念していましたが、排水処理水を直接放流する事でEMが生きたまま排水路に流下し住み着く事で表れた効果だと思います。
 何よりも店主さんが笑顔でしきりに「これもEMを流している効果だと思うよ」と隣組の皆さんに説明していた事がとても印象的でした。
 これを機会に自分たちが流している家庭排水が排水路を汚していること、またさらに流下すると河川を汚染する原因になっている事の理解を求め、さらに今年の排水路清掃の驚嘆を広めたいと思っています。

その他に水質浄化を試みている箇所があります。
EM団子
EM団子に期待を込め池に投入!
公園に投入する活性液と動力噴霧器
 この度EMの活動仲間から紹介をうけ入間市にある私立・東野高校の遊水池をEMにより浄化出来るのか、との相談がありました。この高校はイギリスの建築家により設計されたそうで校外からの外観もモダンな雰囲気があります。校内にはいると校舎・大講堂等の建物もモダンで「大正ロマン」を再現しているような落ち着いた雰囲気があります。
 遊水池には木製の太鼓橋がかかりその奥の食堂まで広々としたスペースを見ると何とも優美な雰囲気をもつ学校です。
 その遊水池を調査すると透明度がほとんど無いほどアオコが発生していました。調査した季節は晩秋でしたがアオコ特有の臭 気がありました。こちらの高校はOBの方々をはじめ生徒・教職員・保護者が学校に愛着心を持っていて熱心に環境を考えておられます。そこで水質浄化の基本である「EM土団子」「EM活性液」の効果の説明し、試験的に取り組みを始めています。
 H18-4月に試験投入をし、継続方法を説明しEMによる水質浄化活動が展開されるものと期待をしています。
 その他、以前にもイベントに参加していた旧川本町にある農林公園でも、コイが生息している池の透明度が全くなく、コイにエサをあげる事が出来るのですがコイを発見するの に苦労をしている状況でした。
 EMによる水質浄化の効果をEMネット埼京・事務局長である上山氏とともに説明をしたところ、来客者がもっとコイと親しんで頂けるならと言う事で「春まつり」の時に来客者(子供達)の参加で「EM土団子」を作り、H18-5月の「桜草まつり」の時に活性液とともに投入しました。こちらでも、継続的にEMによる池の浄化と落ち葉堆肥にEMを添加する事でより良い堆肥作りに挑戦しようと活動をしています。
 水質浄化は一様に単純化出来るものではなく各々の現場に応じ活性液の調合や量を調節する必要があります。それ故に浄化していく事のやり甲斐があるのだと思っています。
 これからも当社は自然循環型社会の形成を願いながら本当の意味での長寿国(健康的に高齢化)を夢見て活動をしていくつもりです。

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