特集 水の浄化活動とEM
えむえむ関東67号より
=EMネット神奈川発=
三浦市海外(かいと)港の自然回復への取り組み
潟Cーエム・ジャパン   報告者 松田正泰
海外大下水
 三浦市から業務委託を受けた三浦市排水路水質浄化研究について報告します。この取り組みは、三浦市の海外港に流れ込む海外大下水の排水口付近に堆積したヘドロと悪臭の軽減を目的にEMを活用した浄化を行うというものです。
 三浦市西海岸に面する海外港は、クロダイ、アカタイ、金目などの釣り場として人気のスポット。湾内では、海藻類の養殖も行われていますが、収穫量は年々減少していると報告されています。私たちの予測は、浄化のみならず、海外港を含む相模湾の生態系復活にも貢献できるものと考え、取り組むことになりました。結論から言えば、悪臭とヘドロの分解は、3ヶ月で効果が見られ、半年後には生態系の復活が確認されました。10月15日(2005年)には、比嘉先生をお招きしての関東EM普及協会主催のリーダー研修会が横須賀市で行われました。その折り、先生にも視察していただき、その成果を確認していただきました。
 この時には、地元漁業関係者、自治会、小学生も参加して、「力だんご(EM団子)」を海に投げ入れました。この様子は、NHKで全国に放映されましたので、ご記憶にある方も多いのではと思います。

大量のEM活性液と力だんごを投入 

 三浦市が指定した対象区域「海外大下水」排水路(延長約900m)に対して、EM活性液(2次)を排水路上流の道路側溝から週1回定期的に1トンを投入し、排水口部における実施前と実施後の環境変化を検証しました。また、排水口付近の海外町海岸のヘドロに直接EM活性液(2次)を月2回定期的に散布し、悪臭とヘドロの分解促進を図りました。さらに、海流による拡散防止および浄化効果とEMの定着継続のため、「力だんご」(EMを混入させた土だんご)を海域に投入するため、行政関係者や漁業組合のメンバーに指導を行いました。試験期間は、平成17年6月30日から12月2日までの約5ヶ月です。
 三浦市の隣にある弊社の横須賀工場で培養したEM2次活性液を1トンタンクに入れ、2トントラックで中学校の付近にある海外大下水上流部まで運びました。このタンクから毎週1トン、合計19トンを流しました。通学中の中学生たちが、興味をもってみてくれました。海岸散布は、1回1トンを9回で9トン。
市民にも協力してもらうために市役所とみうら漁業協同組合二町谷支所にEM一次活性液240Lを納入しました。これらは、興味のある市民の手に渡り、米のとぎ汁EM発酵液にして家庭から排水口に流されました。
「力だんご」は、2回投入。1回目は7月30日に約5000個を123人の参加で製造し、8月6日に投げ入れました。2回目は、10月14日、参加133人で約7000個を作り、10月29日に投げ入れました。いずれも、大人も子どもも、和気藹々の雰囲気の中で、楽しく作業していただいたのは、私たちの大きな励みになりました。

結果 大成功!ヘドロが激変!アサリを発見

 公的検査機関は、株式会社湘南分析センター(現・株式会社三井化学分析センター)にお願いし、6月22日の現地調査から4回実施。結果は、海外大下水排水路内の浄化効果は認められなかったが、排水先の海岸先ではヘドロの分解促進と減少、悪臭緩和、さらに大腸菌群数の抑制を検証することができました。しかしながら、生活排水汚濁物質の量や、時間によって流れるものが違うなど、不確定要素が多く、この点に関しては、今後も定期的なEM投入を続けて、検証するべきという結論になりました。
 臭気に関しては、海外大下水口南側海岸A-2地点の999が15までに、大腸菌群数1,300,000が30までに激変しました。生物調査でも、8〜10cmのヘドロが堆積し、水生生物はほとんどいませんでしたが、9月の調査では、ヘドロが消滅した砂地にアサリの稚貝を数個発見、浅瀬でウミウシの生息、干潟ではドロメを確認しました。立ち会ってくださった漁業関係者のみなさんも、一様にその変化に驚かれていました。
 生活雑排水が直接海に入るわけですから、基本的に公共下水道事業の整備が必要と思われますが、そうした施策が進むまでは、家庭から海の環境に配慮した排水の出し方の工夫がどうしても必要と思われます。この水質浄化研究業務を通して、市民のみなさんにも環境とEMに対する興味を持っていただけたと思います。ことに行政、漁業関係者にEMの効果を認めていただいたことは大きな成果でした。豊かな川や海を再生したいとお考えの行政、ボランティアの皆さんのご参考になれば幸いです。
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