特集 水質浄化活動とEM
えむえむ関東83号より
=EMネット神奈川発=
逗子の海岸を美しく 海を愛する人たちの手で
NPO海岸クラブ
 
砂浜にEM活性液を撒く平井竜一市長
海の人出が戻ってきた
 神奈川県逗子市は、年配の方には「太陽の季節」で一大ブームを巻き起こした石原慎太郎、若い方にはオーガニックミュージックとして人気の「キマグレン」の誕生の地といえばおわかりかと思う。湘南海岸のメッカとして一時はひと夏300万人もの人たちが、訪れた逗子海岸だが、かつて白い砂が続いていた砂浜が見る影もなく黒い砂と化し、打ち上げられるゴミや海草の腐敗臭で、砂浜遊びもできない海岸に変貌してしまった。海岸の環境変化は死活問題として、市が実験期間を経て浄化センターにEM活性培養装置を設置したのは、今から4年前。現在では、葉山よりの東浜にある海の家、鎌倉よりの西浜では、NPO法人「海岸クラブ」が浄化作戦を行っている。その結果、ここ数年で海の人出客が、20万人から72万人へと復活し、関係者を喜ばせている。今回は、海をこよなく愛する人たちで組織されたNPO「海岸クラブ」の取り組みを報告したい。

美しい浜再生事業を官民協働で
NPO「海岸クラブ」
理事長眞壁克昌氏
 NPO「海岸クラブ」は、平成16年に近隣のショップ経営者や海の愛好家たちが、代々受け継がれてきた海のスポーツ文化を子どもたちに伝える目的で発足した。ビーチクラブ全国ネットワークにも加盟し、毎月第1土曜日には、海岸清掃に参加して気楽にマリンスポーツを楽しむ。手ほどきするのはマリンスポーツ好きなボランティア、中には国内トップクラスの選手もいるという。ことに若い家族に人気で、毎回200〜300人の参加者がいる。
 30年近く逗子でマリンスポーツスクールなどを手がける代表の眞壁克昌さんは、「まず、なにごとも掃除からスタートするというのは、当たり前ですが、海の場合は身の安全のためにも必要です。でも、海岸に打ち上げられるごみは想像以上のものですよ」と話す。しかし、拾えるごみよりもやっかいなのは、夏場の悪臭だ。浜に打ち上げられた海藻などを砂浜に直接埋めるためだ。しかし、平成15年からは市の委託業者が埋め立て地区にEM活性液を撒いたせいか、悪臭もだいぶ緩和し、平成18年には、17年ぶりに逗子海岸に海ガメが産卵に訪れ、新聞にも掲載されるほどの話題にもなった。今年度は、逗子市観光経済課での「美しい浜再生事業」(予算額96万4000円)として、NPO「海岸クラブ」に委託された。

ペットボトルでEMお持ち帰り
 「海岸クラブ」では、この1年、参加者にEMを理解してもらい、実際に使ってもらって、自分の手で海岸がきれいになる喜びを知ってもらうことに目標を定めて活動を行った。
5月から12月まで8回のイベントを重ね、18,500LのEM活性液を延べ2500人で撒布することができたという。たとえば、7月19日には、全日本ジュニア大会のイベントとしてEM撒布を含む清掃活動を行い、見学者を含めて500人が参加。全国にこの取り組みを伝えるよい機会となった。
 また、海水浴で賑わう8月の第1と第2土曜日。8月2日には、清掃参加者にペットボトルのお茶を用意し、飲んだ後のボトルにEM活性液50ccと糖蜜を入れて持ち帰ってもらった。そこに米のとぎ汁を入れて1週間後の9日に持参してもらうという企画だが、子どもも大人も喜んで持ち帰ったという。9日は夏の風物詩ともいえる湘南オープンスイミングが行われ、スターターを務めた平井竜一市長も、EM撒布に参加した。ちなみにその日の市長の日記ではEMについて触れ、「これからも市民の手で環境を守っていく取り組みを広げていきたい」と書かれている。市長の希望通り、ごみ拾いとEM撒布は子どもへの環境プログラムとして定着。子どもだけではなく、「海岸クラブ」が老人会などにもアピールした結果、市民ぐるみの環境活動に育ちつつある。

臭気格段の差 効果確認
 さて、オフシーズンに入った9月下旬から臭気検査を行った。9月29日に海藻埋め立て区域にEMを撒布。10月30日海藻埋め立て区域の臭気7、未使用区域267。12月2日には、同臭気0、同臭気21になるという結果だった。撒布区域と未撒布区域を掘り返してみると、海藻の分解の程度に著しい違いがみられ、見学者もその違いに驚くほどだった。また、検査を行った日には、親子で砂遊びをする光景も見られ、EMの効果をみな確信したという。
 真壁代表は、「海水浴だけではなく、朝晩海で散歩する人が増えたことがうれしい。因果関係はわからないが、くらげの発生も極端に減ってきた。海の生態系のバランスがよくなってきたのかもしれない。」という。
さらに、「計り知れない海の魅力と活力を次世代にバトンタタッチするのが海をフィールドにしてきたわたしたちの役割だ」として、今後も、EMを使ったビーチクリーン作戦を続けたいと意欲をわかせている。ごみ拾いから、一歩進んで海の環境を改善できることは、海に親しみ、海と直接語れる人たちにとっては、なにものにも変えがたい喜びだろう。

 ところで、時折り、石原慎太郎東京都知事が逗子海岸を散歩する姿が見られるというが、東京の日本橋川をきれいにしているEMと逗子の海岸を美しくしているEMが同じものだということを知事はご存知だろうか?
                               (報告 小野田)