特集 EMでつなぐ環境活動と福祉
えむえむ関東69号より
=EMネット神奈川発=
10年間継続のEM散布 老人施設の臭い対策に威力
神奈川県寒川町・老人介護施設 寒川ホーム

福祉施設では珍しいISO9001を取得している
寒川ホーム
脳溢血で倒れた父親を介護するために
理想的な施設をつくろうと思いたったと話す
施設長の三澤京子さん。
EM散布は加藤鉄郎さんの
生きがいでもある仕事
薄める水は井戸水を利用
加藤さん考案の噴霧器
トイレ いつもきれいに
浴室 カビなどつかない
ランドリーコーナー・機械が新品同様
保管庫 タオルもふかふか
消毒一辺倒の施設整備でもEMの抗酸化作用は生きる
 神奈川県中央部、四方を厚木・藤沢・茅ヶ崎・平塚市に囲まれた寒川町は、人口約5万人世帯数約1万7千。高齢化率は14パーセントで、老人施設の入所割合も37パーセント(国の方針)と、ある意味では理想的な老人福祉対策を行う街です。
寒川ホームは、JR相模線寒川駅から車で10分。住宅地の中にあり、特養老人ホーム(入居者54人)とショートスティ、ディサーサービス、さらに居宅介護支援を行っています。利用者の8割は、寒川町の町民で、地域に密着した福祉施設として、地域から信頼を得ている施設です。福祉施設では珍しいISO9001を取得。「いつでも、だれでも、同じサービスを受けられる」システムを作り上げています。
さらに環境問題にも力を入れていることは、言うまでもありません。こうした考え方で施設の運営を押し進めているのは、脳溢血で倒れた父親を介護するために理想的な施設をつくろうと思いたった施設長の三澤京子さんです。
「ノロウィルスが発生してから、保健所の指導は徹底して次塩素酸ナトリウムを200倍に薄めて撒きなさいというもので、検査も増えてきました。勿論、これもきちんとやりますけれど。常在菌を皆殺ししていいか。いい菌を増やしことを考えなくてはいけませんよね。その意味で、EMは素晴らしい資材だと思います。EMのお陰か、施設特有の臭いがないとどなたにも言われます」。
三澤さんの指摘通り、施設特有のこもった臭いも排泄系の臭いもありません。この環境を持続している理由のひとつが、10年におよぶ週2回のEM散布です。
「エビデンス(科学的データ)がないので、説得力に欠けると言われますが、経験でわかるということも大切ではないでしょうか。現場では、データなど待っていられないのですよ」。

ボランティアから初めて今は生きがいのある仕事に
 
実際にEMを施設内に散布しているのは、三澤さんと長い付き合いの加藤鉄郎さんです。臭い消しにEMが使えると知った加藤さんが、試しにホーム内に散布したところ、20日で効果が出て、それ以来週2回の散布を行っています。1回に撒く量は、10L。EM1を施設の井戸水で700倍に薄めたものです。
希釈液にしているのは、活性液を試した時に「ニオイが気になる」という声が出たから。
ニオイについても、いろいろな感じ方があるので、多くの人が気にならないという程度にしなくてはと、希釈液に落ち着いたということです。
 EMを撒く時間は、ディサービスが終わる4時過ぎ。散布した水で床が滑りやすくなるので、なるべく人のいない時間を選んでいるということです。トイレ、おむつ処理室、浴室、理髪室、ポータブルトイレ、保管庫などに撒きます。撒く器具は、背負子式の電動噴霧器。キャスターに固定すると、足でスイッチを入れたり止めたりできる優れ物です。
「EMはものを選ばないからいいですよね」と言う加藤さん。確かに人が浴びても、植物に当たっても、食物にかかっても問題がない資材というのは、少ないかもしれません。「問題がどころか、かかればかかるほどいいのですからね」とにっこり。
 EM効果は、ニオイがないだけではなく、カビが生えない、施設内の劣化が少ないなどこれは、EMの論理からいえば当然の結果かもしれません。車イスもピカピカですし、もしかしたら、風邪を引くお年寄りも少ないかも・・・。
 「こんなに長く撒くとは思っていなかったけれど、皆さんに喜ばれるのはうれしいですね。もう後継者もいるのですよ」いう加藤さん。継続するためには、人も育てておくという加藤さんの配慮です。スタートは、ボランティアだったEM散布。今では、加藤さんの生きがいのある仕事になっています。