特集 EMでつなぐ環境活動と福祉
えむえむ関東85号より
=EMネット埼京発=
日本初の福祉クラブ生活協同組合が運営
老人福祉施設でEMWが大活躍
  
神奈川県鎌倉市 コア鎌倉

20年をむかえる福祉クラブ生活協同組合

福祉クラブ生活協同組合が運営する
入居型老人福祉施設「コア・北鎌倉」
理事長の松本郁子さん
 福祉クラブ生活協同組合とは、耳慣れない言葉だが、1989年神奈川県で誕生した。長年住み慣れた地域を離れることなく、地域の中で育んできた人間関係を保ち、助け合いながら自分らしく暮らすための「在宅福祉支援システムづくり」をワーカーズコレクティブと共に進めている。生活クラブ生活協同組合と同じく、安全安心な食や生活雑貨の宅配事業を展開しながら、目的は「福祉」に重点を置く非営利・協同の活動団体。ちなみにワーカーズコレクティブは、地域住民が出し合った資金をもとに事業を行う協同組合方式のことで、理念としてはボランティア精神で、利益優先ではないサービスを提供することにある。
 2009年度5月現在、17業種、81団体のワーカーズコレクティブが地域で活動し、「世話焼き」「家事介護」「食事サービス」「移動サービス(車による外出介護)」「施設サービス」「子育て支援サービス」「後見サポート」など自ら参加する福祉として、市民の多様な福祉二ーズに対応し、たすけあいの営みを広げている。

入居型老人福祉施設「コア・北鎌倉」

 その福祉クラブ生活協同組合が運営するひとつが「コア・北鎌倉」。JR大船駅から湘南モノレール富士見町駅下車徒歩5分にある入居型老人福祉施設だ。コンクリート3階建てだが、地域に馴染む佇まいで、しかも、交通の便がよい。
 理事長の松本郁子さんにお話を伺う。「ここは、2003年にオープンしました。福祉クラブ生活協同組合が運営する住宅型の有料老人ホームとしては、日本でも初めてといわれています」とのこと。入居者は、現在20人で、26人の常勤ワーカーによって運営されている。個室だが、共有スペースも広く、まるで1つの家のような作りだ。入居のご老人の平均年齢は80歳後半。鎌倉市内だけではなく、お子さんの勤めの関係で神奈川県に転居し、この施設を利用することになった人もいる。
「なるべく、おうちにいる時と同じように暮らすこと。これを第一にしていますので、厳しい規則などはありません。病気になられたら、かかりつけのお医者さまに通われる。なにか、問題が発生すれば、みんなで知恵を出し合って解決していきます」。
 また、施設には、鎌倉・家事介護ワーカーズ「であい」や、食事サービスワーカーズ「キッチンかまくら」などの7つの団体が関わり、仕事を分担して支えている。と同時に施設がそれらのワーカーズの活動拠点にもなっている。

生活クラブ生協の厳しい基準は福祉にも

 生活クラブ生活協同組合の厳しい基準を満たした素材が使われる食事は、ことに好評だ。入所したら、元気になったケースが多いのも、吟味された食材が大いに関係しているだろう。
 もちろん、お掃除にも配慮が見られる。基本的には、無添加の石けんだが、臭いの発生などを解消するために塩素系の消毒剤などを使わなくてはいけない。そこで、注目したのが、EMWだ。ワーカーズコレクティブのひとつ、逗子市で活動する「グリーンベル」が、EMWと石けんを使うクリーニングを行っていることを聞きつけ、さっそく「グリーンベル」のメンバーによる講習会が開かれた。身体にかかっても安全なことから、採用を決定。オープン当初から、使っている。基本的に
EMWを1000倍に希釈したものをスプレイヤーに入れて使用している。

使う場所
@ 個室の床掃除
コルク素材の床にEMWをシュッシュして、モップで拭く。
A お風呂場の掃除
基本なそうじが終わった後に全体にシュッシュ
B 汚物入れに
汚物を入れるバケツにシュッシュ

トイレの掃除に
シュッシュ
汚物を入れる
バケツにシュッシュ
お風呂掃除に
シュッシュ
個室のお掃除にシュッシュ 基本的なそうじが終わった後に
全体にシュッシュ

安全 安心 健康を考えたらEMに

 EMWのよさを松本さんは、こう話す。「まず、利用者のみなさんに安全であること。使う人間にも安全なこと。これが、一番ですね。それに環境を破壊せず、よくする。悪いところがないですよね」。さらに施設特有の臭いがないと言われると付け加えた。
 このEMWをもっと使いこなそうと、つい最近、地元の販売店イーエムジャパンから社員を派遣して研修会も開いた。単なる掃除だけではなく、多方面に効果が期待できることも学び、ワーカーさんたちは、家庭でも試してみるつもりだという。なにより、松本さんは、EMWを日常的に使うと健康になるという点に注目した。「風邪の流行期でも、ここに入居されている方たちは風邪をあまりひかれません。もしかして、これってEM効果?」

たすけあいの精神をつなげたい

 さて、最後に理想的とも思えるこの施設のこれからの運営について伺った。「自分たちの老後は自分たちの手で自立して行おうという先輩たちの意思を受け継いでいきたいと思います。でも、介護の担い手が60歳を超え老々介護になってきたのは、施設とて同じです。若い仲間がどうしても必要ですが、経済情勢がそれを許さないのか、なかなか集まりません。せめて、子育て時代の若いお母さんたちが、この施設を利用していろいろな活動をしてもらいたい。地域の住民が交流することで、助け合いの精神も生まれてくるのではないかと思います」と。
 世界でもまれにみる超高齢化低少子化の日本。これは、一朝一夕には解消しない。団塊の世代が福祉を支え、最後は互いに支えあうしかない。まずはEMボランティア活動と福祉。これをリンクするのがいいかもしれない。貫く精神は同じなのだから。(文責:小野田)