特集 EMとボランティア
えむえむ関東89号より
=EMネット北関東発=
EMに導いてもらったたくさんの希望と元気と出会い
      
社会福祉法人ブローニュの森 内田芳江

1.EMとの出合い
 
ただいまEM団子の箱詰め中
平成9年、まだ会社勤めをしていた頃、どこかで目にした「EM」が気になり、生協のグループ宅配で試しに生ごみストッカーとEMボカシを取り寄せたのがEMに関わるきっかけでした。
 生ごみの堆肥化に取り組んでまもなく、2個目が必要になり、ストッカーは京都のメーカーさんに問い合わせ、EMボカシは沖縄の、確かEM研究機構さんだったと記憶していますが、電話をかけたら、「足利の商工会議所で取り扱っている」ということでした。すぐに当時の「足利EM普及探偵団」の会員になりました。

2.EMに導いてもらった、たくさんの希望と元気と出会い
☆「EM生ゴミ堆肥化を進める会」の誕生
 平成15年、足利から佐野に転居したのは定年後に家庭菜園を目指していたからでした。佐野へ来てまもなく、生ごみの堆肥化についてケーブルテレビの取材を受けることになり、足利水土里探偵団の会員だった3人が集まり、「EM生ゴミ堆肥化を進める会」がスタートしました。その後、徐々に会員は増えて、平成18年には「EMエコの会・佐野」に名称を変更しました。現在会員は70名になりました。

「社会福祉法人ブローニュの森」との出会い EMボカシ「みのり」へ
《施設の紹介》
 精神障害者福祉施設「社会福祉法人ブローニュの森」(経営母体)は佐野市・足利市・栃木市で事業をしています。形態は、多機能型事業(自立訓練・自立訓練宿泊型・就労継続支援)、共同生活支援(グループホーム)、居宅介護事業、地域生活支援センターなど。メンバー約200名、スタッフ約40名です。
  平成16年、知人を介して「ブローニュの森・アークスフォース」のスタッフに参加することになりました。当時、施設の作業所では、プラスティック製品のバリ取りや小さな電気部品組み立てなどの作業をしていました。作業は9時から午後3時まで椅子に座って行われますが、当時の作業に向いていない人も多く見受けられました。そういったメンバーさん(施設利用者)に違う作業を行ってもらうことは出来ないかと思っていました

そこで、以前、足利の福祉施設のEMボカシつくりを見学したことを思い出したので、足利水土里探偵団の中庭さんに相談し、EMボカシつくりを作業として取り入れました。
 平成17年には「EMボカシネットワーク関東」に加入しました。材料の籾殻と米ぬか、作り方の指導なども、ご近所の農家の支援と私の所属している「EMエコの会・佐野」の協力で取り組みました。今ではEMボカシ「みのり」と名づけ、法人内の足利の作業所を含めた合同作業になっています。
EM団子つくりに参加 EM石けん
平成18年、これも足利水土里探偵団の中庭さんやU-ネットの方々のご支援を元に、はじめて日本橋川に投入するEM団子を作りました。
 作った団子を運搬することになり、東京見物を兼ねてバスで出かけました。日本橋川をきれいにするために日本橋の上から自分たちで作ったEM団子を投げ入れたり、船に乗せてもらって船上から投げ入れをしたのは、メンバーさんにとって毎年続くことになる楽しいイベントの一つになりました。
 
 翌平成19年には、地元の株式会社アキレスさんから依頼を受けてEM団子を4000個も作りました。浄化槽・冷却層の投げ入れにも参加させていただきました。
 EMの作業の中でも大勢で関わるEM団子作りは毎年一番人気の仕事です。真夏のビニールハウスの中での作業なのに、足利を含め4作業所のメンバーさんが参加します。今では役割分担が出来上がっています。作業場となるビニールハウスのオーナーさんには、材料の土の購入手配もお願いしたり、差し入れをいただいたり・・・。休憩時間には、EMエコの会の人も交え、木陰の楽しいお茶の時間を過ごしています。
 平成20年には足利の障害者の集う「青空学級」という「助戸公民館事業」の一つとして、EM団子つくりの講習を依頼されました。ブローニュのメンバーさんと一緒にEM団子を作り、足利の用水に投入を行いました。
 また、足利や大泉で開催されたEM基礎講座には「エコの会・佐野」と協同で講師をつとめたりしました。
 現在は、「市内を流れる三杉川をEM団子で浄化しよう!」と、犬伏東小・イオンチアーズクラブ・EMエコの会との協働も検討しているところです。
 EMの作業を進める中で、福祉施設で間に合わない材料や労働力などは全て「足利水土里探偵団」と「EMエコの会・佐野」に助けを求め、わがままを聞いて貰い、本当に助かっています。
平成18年の10月、障害者自立支援法が施行されました。いち早くこの支援法にのった当法人は自立・就労に向けてメンバーさんの支援に取り組みました。
 この年、足利水土里探偵団と一緒に足利葉鹿小学校に出向き、廃油石けんつくりを体験しました。その体験を基にEM石けんに取り組みました。なかなか品質が安定せず苦労しましたが、様々に試行錯誤を繰り返した4年が経過しました。今は「就労継続チーム」を目指し、昨年(平成21年)11月から新たに「EM石けんチーム」が誕生しました。今まで週1・2回の作業だったのが毎日取り組むようになりました。
 材料となる廃油は法人内2箇所のお弁当作業部や関連の病院などから集めています。今後は、廃油の入手先も飲食店や給食センターなど協力をお願いすることが必要かと思っています。
 石けんの種類としては、ボカシ入り石けんやEMセラミックス入り石けん、ミネラルパウダー入り石けんなどを手がけています。
 「EM石けんチーム」は出前講習にも出かけます。群馬県榛東村商工会や足利水土里探偵団、市内の小学校にも出向きました。佐野イオンさんが企画した「みんなのエコ発表会」では、「EMエコの会・佐野」と一緒に参加して、店内でお客様に呼びかけて体験講習を行いました。
 また、益子町には福祉施設との石けん交流や、昨年行われた「EM基礎講座」にも行っています。 廃油石けんは汚れる作業の上、苛性ソーダを使うので危険を伴うし火災にも注意が必要です。それでも参加してくれるメンバーさんは安定した賃金がもらえる仕事になるよう真剣に取り組んでいます。しかしながら、まだまだ課題がたくさんあります。
EMキャンドルの灯り EM培養土による花つくり
平成21年、EM団子つくりでお借りしているビニールハウスのオーナーさんから協力依頼があり、足利市樺崎八幡宮の春期大祭のイベントに参加しました。実行委員として参加させてもらい、EMキャンドル1500個を夜間に灯して、祭り盛り上げに一役担いました。EMキャンドルの作成にあたっては、大島先生をはじめ足利葉鹿エコクラブさんにご指導を頂きました。
 足利氏の氏寺である鑁阿寺の開祖・足利義兼の眠る樺崎八幡宮は、樺崎寺跡(国史跡)の広大な敷地のなかにあり、室町時代の姿に復元が予定されております。修復中の浄土庭園の周囲に「義兼」の字形にならべた、1500個のキャンドルが灯る光景には大変美しく、とても感動しました。



心の悩みを持つメンバーさんもお花には大変癒されます。「園芸療法」の効果を期待して、さっそくEM培養土での花つくりに取り組みました。日本花の会顧問であり、U-ネットにいらっしゃる岩井節夫さんのご指導で始めました。
 十分な資金も場所もない中で始めたことなので、ビールのケースを土台に、不要になったパレットを木工所からもらって作業台を作りました。平成18年は2500鉢。岩井さんにはEMの土つくりに何度も足を運んでいただき、水遣り・肥料の施し方、植栽のデザインまで事細かなご指導を頂きました。休日返上で花の管理・販売に取り組んだ3ヶ月は、成長していく花の生命力が私達に熱意をもたらせたものと思います。大変でしたが、とても良い経験が出来ました。     
 また、販路を持たない私達は、野菜の直売所や知人の店に置かせてもらったり、市役所、病院などから注文を取りました。しかし最後は「足利水土里探偵団」と「EMエコの会・佐野」に頼ることになりました。これもまたボランティアの力を借りずには成し得ないことでした。
 平成19年には、「食と農」に関心を抱く地元の人々が集まり、知足(=足るを知ること)にまつわる多様な活動を繰り広げている、「足利知足塾」の3200鉢に協力、平成20年秋には2000鉢を育て、各地の公共施設や知人の会社や公園などを彩りました。
イオンチアーズクラブとの出会い
イオンチアーズクラブは小学生の環境活動を支援するイオンさんのグループです。イオンさんから依頼を受けて、佐野市の石けん工房で親子参加の石けんつくりをしました。その後のイオン店内での石けんつくり体験と「みんなのエコ発表会」につながります。 EM石けんや米のとぎ汁発酵液つくりもお手伝いしています。
 

3.EMとボランティアと福祉
 一連のEM関連作業の中で特に感慨深いのは花つくりです。土つくりの失敗でウジが発生したり、大雨の夜に懐中電灯で見回ったりもありました。結果は・・・・花はみんなの心を明るく彩って活気をもたらせてくれました!
 手をかけなければ枯れてしまう。手をかけた分だけ苗の生長や花の美しさが目に見える。「自分たちで育てた花だ!!」という満足感。病院のイベントなどで販売しましたが、メンバーさんが売り込みに愛情と力を込めたことは言うまでもありません。地域に飛び出した「ブローニュの森」が、建物から飛び出した自然の中で、花という生き物を相手の活動は、明らかにメンバーさんの心を捉え、生きる力になったと思います。心の自立は働く意欲につながり、やがて経済的自立を目指せます。
 「ブローニュの森」のEM活動も今年は5年目になりました。ボランティアグループの協力から始まり、学校、企業、病院、福祉施設、市役所、他のボランティアグループなど、たくさんの出会いとつながり、地域社会と密接なつながりをもてたことはEMの見えない発酵と蘇生の力と実感しています。
 私が、足利水土里探偵団のEM活動経験を持って佐野に移り住み、こうして福祉施設とのかかわりから、たくさんのEM活動に取り組めたのも多くの方々のご縁とご支援がなければ出来なかったことばかりです。
 足利水土里探偵団の中庭さんから「その事例は他の地域のモデルになるから」と言われ、今年1月15日に太田の授産施設との交流会を行い、これから栃木と群馬の福祉施設との交流会をして行くことになりそうです。EM活動、ボランティア、福祉で結んだ多くの方とのご縁を大事に育てて、地域社会に貢献できるようにつとめていきたいと思っておりますので、これからも宜しくお願いします。     
 

------------------ぼくたち、私たちの挑戦より-------------------
廃油を使ったキャンドルつくり


葉鹿エコクラブ編
2009年8月発行
価格700円(送料は
着払いとなります)
@ 廃油200ccをアルコールランプで温め、60℃になったら、クレヨンを入れ、色づけを行う。

A 80℃になったら、廃油凝固剤をいれ、完全に溶かす。
B 完全に溶けたら、火を止め、60℃にさます。

C さめる間に、たこ糸(キャンドルの芯になる)を割り箸にはさみ容器の真ん中にまっすぐ立つようにセットする。

D 60℃以下になったら精油を2・3滴入れよくかき混ぜる。

E Cの容器に溶液を注ぎこむ。

F 固まるまでそのままにしておく。

※ ポイント
使う廃油は、廃油2Lに対して、糖蜜を20cc、EM20cc入れ、1ケ月ほど発酵させたものを使う。これを使うことで、EM石けんと同様、廃油の臭いを消し、アロマの香りが際立つ。

(ぼくたち、私たちの挑戦〜環境学習10年を振り返って〜 より)