特集 市民活動
「えむえむ関東110号」より
=EMネット群馬=
耕作放棄地に花と野菜を育て、みんなを笑顔に!

前橋桂萱・花と野菜をつくる会 元山稔子

はじめに
 前橋市桂萱地区は赤城山の裾野に位置し、桑畑・水田の広がる純農村地帯でした。現在は、市街地中心部にあった高校や市や県の出先機関が移転し、大型店が出店し、住宅や住宅団地がたち並び、風景は変わってしまいました。
所どころに田や畑が残っていますが、作り手が高齢化したり後継ぎがいなくなった場所は雑草地や耕作放棄地になっています。
私たちはこの桂萱地区で、EMボカシを作り、生ごみ堆肥作りを呼びかけ、そして雑草地や耕作放棄地に花と野菜を育てる活動をしています。

EM基礎講座をきっかけにして
 
 可憐に咲くジャーマン・アイリス
 
 ジャーマン・アイリスに囲まれて
 
 仲間たちと一緒に作るEMボカシ
 きっかけは、おととし桂萱公民館で開催したEM基礎講座でした。講座終了後、参加者の交流会が開かれました。そこで、参加者の一人の林英夫さんから「耕作放棄地に花を植えて‘桂萱地区花いっぱい運動’をしませんか」と提案がありました。
そのときすでに林さんは耕作放棄地を借り、花づくりの活動を実践開始されていました。ジャーマン・アイリスの球根が増えたことで、草だらけの農地をもっと多くの花で満たそう、との提案でした。
そして、受講者のうちの数人が集まり、毎週共同作業日を設け、ほとんど開墾作業のような土づくりから始めました。
畑に入れる肥料はEMボカシと生ごみ堆肥です。土は固く、ジャーマン・アイリスはともかく、野菜作りはとても大変でしたが、作業開始の2年目の昨年はジャガイモがたくさん取れました。
今年もジャーマン・アイリスの栽培面積拡張と並行して、季節の野菜を栽培中です。

新しい仲間を迎えて
 私たちは毎月一度会員の家に集まり、EMボカシづくりを行っています。
EMボカシづくりには、主に口コミから新しいEM仲間が集まり始めました。
EMボカシを作りながら、参加者同士で環境や健康のことを話すことで、自分の今の生活様式に課題を見つけます。健康のために生ごみ堆肥だけで家庭菜園を始める人も多く、野菜作りのこともきちんと勉強しなくては、と向学心(?)も芽生えているようです。
今年も5月にここでEM基礎講座を開催しました。地域の自治会の協力を得て、回覧版で告知したところ、桂萱地区以外からの参加者もありました。また、私たちと同じ問題意識で耕作放棄地に花を育てる活動している星野さんとも、ここで知り合うことができました。星野さんは大輪のひまわりを育てています。ひとりひとりの活動が、桂萱公民館でつながり、輪となって広がっていきます。まだ人数も少なく規模も小さいですが、これからもっともっと広げて、この地区を花いっぱいにしたいと張りきっています。
そんな私たちの仲間の声を、お伝えします。

本会の提案者(林英夫)
 
 昨年収穫したジャガイモ
 雑草地と耕作放棄地をなくす運動をしています。昨年は雑草地だった所に600株のジャーマン・アイリスを植えて 、残った所にジャガイモ・サツマイモ・カボチャを植えました。
EMボカシを2回程入れ、EM活性液を一週間に一度撒きながら育てたら、石ころだらけの固い土地でしたが、思ったよりジャガイモとサツマイモの収穫ができました。
放射性物質も心配だったので、市の測定所に行って測ってもらいましたが、不検出でした。
今年はジャーマン・アイリスが春のゴールデンウイークにみごとに咲いてきれいでした。
ジャガイモは春になって乾燥した日が続いたのが原因なのか、はやく枯れてしまって、小さいものしかできませんでした。
今はナス・キュウリ・オクラ・ミニトマト等夏野菜の収穫中です。毎週木曜日の午前中が活動日になっていて、草むしり、種まき、収穫等をしています。
夏の終わりの頃にはジャーマン・アイリスの株分けを予定しています。ジャーマン・アイリスの株が欲しい方には差し上げますので、お気軽にお声掛けください。
 
ひまわりを休耕地に植えて(星野伸明)
 
 群馬県ゴミ排出量(県民一人当たりに換算)が全国ワースト2!なんでだ????
以前から少しは環境問題に関心を持っていた私ですが、これほど群馬県のゴミの量が多いとは思いませんでした。そんな時、EMネット群馬の活動を知り、講習会に参加しました。
早速テキスト片手にEM活性液やEMボカシを作り、家中で試しています。特に効果があったのが、私のTシャツです。汗臭いにおいがなくなったと妻が驚いていました。
毎日出る生ごみもEMボカシをふりかけ、堆肥づくりにも挑戦中です。
昨年から近くの畑を借りて、ひまわりを咲かせています。皆に呼びかけて、子供達も一諸に種まきをしました。
ひまわりはみごとに咲いてくれ、通りがかりの人、近所の人達、話を聞いたといって来てくれた人など、皆を楽しませてくれました。沢山の笑顔がみられました。
今年は3倍の広さに増やし、種を蒔きました。将来はもっともっと参加者を増やして、休耕地に沢山のきれいなひまわりの花を咲かせていきたいと思っています。
 
EMを使って、安全・安心の食生活をしています(萩原正子)
 子どもの頃食べた旬の野菜は格別なものでした。完熟したトマトはその場でもぎ取り口の中へ、安心してごく自然に食べていました。
今はどうでしょうか。9年ほど前、近くで目にした農薬漬けの野菜作りに愕然とし、残留農薬への不安を感じたことがありました。体内に蓄積されたら健康を損なうことや目に見えない環境汚染が広がることです。過剰な農薬散布と化学肥料によって栽培された野菜の栄養成分は50年前と比べて激減していると聞いています。大人はもちろんのこと、次世代を担う子供たちの健康への影響を考えると、不安が広がってきました。
そんな時、EMのことを知りました。捨てられる米ぬかで作ったEMボカシ、家庭から出る生ごみから作った堆肥、これらを使って安心して食べられる野菜作りを自宅横の畑で始めました。
少しずつできることから始め、試行錯誤しながら今では約180㎡のところが季節の野菜で一杯です。トマト、キュウリ、ナス、オクラ、枝豆、ピーマン、落花生、トウガラシ、南瓜、エゴマ(初挑戦)など少しずつ収穫を楽しんでいます。どれも安心して美味しく食べています。中でも甘くって大粒な枝豆は主人の酒のつまみに好評です。
EMのことは知れば知るほど奥が深いなぁと感じています。スタートラインを少し超えた所程度の知識ですが、これからも楽しみながら学んでいきたいと思っております。
今、数名の仲間と一緒に、週に一回EMを使った花(ジャーマン・アイリス)と野菜作りに参加しています。太陽の下、和気あいあいと語り合いながらの作業はとても楽しく、健康を実感します。そして、汗を流した分全身の細胞がリフレッシュし、私自身が元気になります。
自分たちで育てた野菜で、時には収穫祭を企画し、親子やおじいちゃん・おばあちゃんも一緒に世代を超えて語り合う場になり、子どもたちが土に親しむきっかけができたら、次世代に少し光が見えてくるような、そんな気がします。